道具を使いこなせ!
うまい手抜き
手抜き、という言葉は世間では悪い意味にとらえられると思います。
しかし、この世界ではうまい手抜き技術は必要です。
もし植木屋が手抜きをせずに仕事をしたら、お客様への請求はたいへんなものになります。
正確に寸法を測り、位置にマーカーして、根鉢の大きさを鑑みて穴の直径を割り出し…。
全ての枝葉を、木はさみで一枚一枚葉を変なところから切らないように気を使いながら枝先を詰め、中の混んでいるところを切り残しのないように間引き、引っかかっているゴミを払い…。
と、正確な仕事をしようとすれば書ききれません。
それに、一本の木を終えるだけでどれほどの時間を必要とするか、考えただけでクラッと来ます。
そのために、お客様の予算や時間に合わせた、いい意味での手抜きが大切なのです。
誤解して欲しくないのは、それを雑仕事と思われることです。
自分は、この仕事には誇りを持っております。
だから少しでもいいもの、同業者がみても納得できるものにしたく、やらなくていいことまでサービスでしてしまいます。
悪くはないのですが、さすがにこれでは営業マンとしてはコスト管理が間違っています。
そこで、時間短縮、仕上がりオッケーの手段の一つが、機械道具の使用なのです。
電気バリカンの使い方
そんな便利道具の一つの、プロの使い方を教えましょう。
それは、一般の方もよく使っていらっしゃる刈り込み用の電動バリカンです。
両刃のもの、片刃のもの、廉価版プロ仕様ホントに種類も豊富です。
しかも刈り出すと意外と楽しいので、次々に刈りたくなりますね。
それは商売人も同じこと。
後かたづけの面倒さも忘れて刈り進んでしまいます。
自分の家のものを、自分で刈るのですから、好きな形にして誰も文句は言いません。
ので、お節介かもしれませんが少しコツをお話したいと思います。
先ず気になるのは、みなさん意外と機械の手入れをしませんね。
できれば値段のよいものを買う方がお勧めですが、どんなものでも刃についた草のアクは取って上げましょう。
刃を水に浸けるようにして、スイッチを入れて動かしてあげれば簡単にきれいにできます。
それにミシンオイルをぬってあげれば十分。切れ味も変わりますよ。
実際の刈り込みで一番の大切なことは、腕の動かし方です。
できるだけ、腕や手首を固定して、腰の動きや、体全体動かして刈りましょう。
玉ものですと、裾を刈るとき手首を曲げて、しかも力を加えて押し下げてしまうため深く刈り込みすぎ、なだらかな半円(饅頭型)になっていません。
生け垣では腰元に近づくと、腕が腰に押しつけられ、深めに低く刈ってしまいます。
そのこと頭に入れて、まずは一定に動かすことだけを意識しながら、集中力を切らさないこと。
そして、いつでもいい形をイメージすることです。
さらに刈り込む長さや、枝抜きなどテクニックはありますがそれはまたにしましょう。
我々も機械だけで作業をすませることはしません。
刈った木をよくはたいて、刈りカスを落とし刈り残しやゆがみをはさみで整えます。
そして覚えておいていただきたいのは、間違ってもきれいに刈れたという目で見ないこと。
脳はよく錯覚をします。
丸くなくても見ているうちに丸く見えてきます。
必ず、形が崩れているはずだ、という目で見ましょう。
この癖をつけるだけで、確実に腕が上がりますよ。