家訓と縁起物

お家の事情
占いをテーマをしたので、これも書いておきましょう。
お客さんと、植木の相談をすると、個々人色々なこだわりの話が出てきます。
一番多いのが、「うちの家訓で。」と言うお話。

あるお客さんのお宅では、
「我が家では南天は、大きければ大きいほどいいの。屋根を越えるような大きさにしたいわ。」
と言われたかと思うと、別のお客さん宅では、
「植木は屋根より大きくするなとおばあちゃんから聞いているので、屋根より高い木は皆切ってください。」なんて言われます。
これは正解のある話でもありませんし、もちろん定かな根拠はわかりません。
しかし、それを全て迷信と捉えることもできません。
そこに何らかの生活の知恵と、縁起担ぎ(精神的な安定)、が含まれているでしょうから。

よく言われていること
椿は首が落ちるように花が散るから、玄関前に植えるな。同様に、みかん類も庭に植えるなと言われます。
とか、樫の木は貸し借りすることにつながるから、金持ちになるようにモチの木を植えろ。
引越しするならオモトを先に運べ。
など、よく聞く話以上にきっと自分の知らない言い伝えもあるでしょうね。

これはホントの話かはわかりません。自分も聞いた話です。
よく、琵琶の木を庭に植えると病人が出る、と言われます。
実は、江戸時代は琵琶の木は、色々薬に使われていました。
知り合いの親方は、未だに打ち身には琵琶の葉を湿布代わりに使っているくらいです。他にもお茶にしている方もいますね。
現代でもそうですから、江戸時代ではまさに万能薬になったのではないでしょうか。
で、庭に琵琶を植えられると、困るのは町医者です。商売上がったりですからね。
そこで町医者が、琵琶の木を植えさせないために、庭に琵琶を植えると病人が出る、と吹聴したらしいです。

もう一つ、
松の木に日本酒を与えると、元気になる。
これは、風習として続いている地域もありますね。以前お世話になったお宅のおばあちゃんも松にあげていました。
実際はどうでしょうね。素人意見は言えませんし。
これも聞いた話です。
昔は、庭師が仕事に行けば、お茶出しは当たり前ですし、終わったら一杯なんてことになっていたそうです。
しかし、あるお宅には仕事に行っても、お茶も出てこない。普通は出てくるのに、庭師としては気分よくありません。
いつだか家人が「松が元気悪いんだけど、どうしたらよいだろう?」と相談を持ちかけたそうです。
庭師は、俺に酒も出さないくせに、植木の心配ばかりしやがって、なら松に酒でも飲ませろ。
という皮肉を込めて、
「酒でもあげりゃ元気になるよ」なんて言ったそうです。
それがよかったのか、松は元気になったそうです。
それから、松には日本酒を与えることが流行ったらしいです。

何度も申しますが、真相は定かではありませんよ

縁起担ぎ
木の名前に縁起担ぎを求めるのは、今でも変わりません。
イチイ、万両、千両、エンジュ、橘、南天、ヒイラギ、ユズリハ、カシ(さっきは悪者でしたが)、月桂樹、榊‥‥。
上げればきりがありません。
自分も好んで使います。
やっぱり、縁起がいいと聞いて嫌がる方はいませんし、こちらも福をもたらすようでうれしいですから。
お客様のお庭を任せられる以上、自分の知るあらゆる知識を導入します。
風水も、縁起担ぎも、あとになって知っていればと後悔されることが、一番こちらも悔しいです。
それが、実は自分自身の精神的な安定化もしれません。
スペースがなくなってしまいましたので、また木の種類については、リクエストがあればコーナーを作りましょう。

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