一級造園施工監理技術検定受験記

造園施工監理技士
簡単に説明すると、この資格は、公共の工事や大規模な工事などを行う際に、現場に必ず配置しなけれならない監督や指導的立場の役職(主任技術者や、監理技術者と言います)、また建設業の許可を受ける際、各営業所に必ず置かねばならない専任の技術者になることのできる資格です。
一級と二級の違いは、単純に偉さの違いです。
一級の場合は、より大きな工事(金額、作業員の数など)を指揮する役職(監理技術者)になることができます。
実際に役職が欲しい場合は、合格後さらに講習を受け、免許を発行してもらえばオッケー。
ただし、有効期限は5年なので、そのたびに講習を受けて更新しなければなりません。

受験のためには、受験資格が必要です。
一級の場合は、もちろん条件が厳しいです。
学歴によって実務経験が違ってきますが(3年から15年の幅があります。)、一定の造園施工作業の経験が必要となります。。
そのうち1年は指導監督的実務経も必要です。
自分の場合は、指定学科以外の大学卒業の学歴で、4年6ヵ月の実務経験が必要の枠で受験資格を取りました。
この願書がまた細かいことを聞いてくるうえに、内容の証明者の署名や、証書など提出までには時間とお金がかかります。

試験内容は、造園の歴史から始まり、土壌や地質、植物の生態や樹木の種類や特性、施工、植物以外の材料の扱い、土木工事(この中には公園施設の構成や、コンクリートや舗装作業など建設関係の全体が含まれます。)並びに設備関係、工程管理や品質管理の方法、契約関係、各種法律(建設業法や建築基準法、労働基準法を柱に細かい関係法令や都市計画法など10近い法律が範囲です。)等々、
さすがに管理者の立場に立つためには、理解しければならない範囲も半端じゃありません。

試験は、上記の全ての項目が出題される四択マークシート方式の一次試験と、より具体的な回答と、自己の経験を出題の意図に合わせて解答する記述式の二次試験があります。
一次の合格者のみが受験できる二次まで終え、さらに合格発表が出るまでには、願書を取り寄せてからまさに一年かかります!
受験料と書類集め、交通費を合わせると3万円は軽く越えますね。

今年の合格率は過去最低です。
全受験者数から判断して、2割強の1700人しか合格しておりません。
多いときには5割以上が合格(一年で6000人です!)していたのですから、その落差にはびっくりです。
今後はさらに低く、厳しくなるのではないでしょうか?
問題も年々ややこしいことを聞いてくようになっています。
何故そうなるのか?
単純に、有資格者が増えたせいでしょう。
はっきりいって、こんな画一的な試験で個人の能力は量れません。
指導的立場の人間に必要なのは、知識以上に指導力と臨機応援さですから。(文句を言っても仕方ありませんが。)


試験までの道のり

この試験を受けようと思ったのは、今から3年前です。
当時は漠然と資格の存在を知っているだけでしたし、先ずは2級からと思っておりました。
参考書を買ってきて読み出しましたが、これがホント理解できない話ばかり。
仕事で使うこととは言え、全ての内容が数値や専門用語化しており、さらに自分の仕事では全然関係ない建設や設備、歴史や法律、これは正に丸暗記が要求される内容でした。
頭の悪い自分の、もっとも苦手とする「暗記」です。辛らつな言い方をすれば、まさに学生の「お受験」です。
植木のサイズが0.1cm狂おうが、コンクリを捏ねる温度が1℃違おうが、誰がそこまで量ってるんだと投げ出したくなりました。
と屁理屈いいながらも、高みを目指すなら欲しい資格ですので、一年かけて勉強して、次の年に狙おうと目論みました。

ここに、ライバルが登場します。
実は幼馴染みに同じような仕事をしている者がおりました。
勉強をはじめた年の春、地元の集まりで話をしていたら、彼も試験を受けるそうです。しかも一級です!
自分と違い、専門の学科を出ている上に、造園会社の経験も持ち合わせていました。
彼の勤めていた会社の一つには、某テレビ局の人気番組、テレビチャンピオンのガーデニング王選手権で連覇をした造園会社も含まれています。自身もテレビに映っていたらしいです。
その彼が、二級を飛ばしていきなり一級を受けるそうです。
どうも話を聞いていると、一級と二級では、問題の半分近くが被っている内容とのこと。
確かに一級のテキストを見せてもらうと、自分の勉強している二級と変わらないことばかり。
なら、こっちも一級だ!彼にできて自分にできないわけがない!思い込みと強引な言い訳で、勉強を始めて2ヶ月で一級を目指すことになりました。

しかし彼とは下地の違う、薄っぺらな自分には、コツも分からずに勉強できないと思い、ネットで講習会がないか探しました。
たしかにありました。
3ヶ月短期集中講座、講習料は実に23万円!
えっ!?、に、23万円!それに一次試験は9月、仕事の忙しい夏に夕方から通うなんて先ず無理。必ず授業に遅刻します。
しかもちょっと高くありません?
ん〜。不調なパソコンを買い換えねば払えるといえば払える。この、高いけど無理すれば払えるという、貧乏人にはとっても微妙な数字に頭をかかえました。
幸か不幸かこの後、完全にクラッシュしたパソコンの買い替えに迫られ、講習料の捻出はなしになりました。
ま、こうして合格した身なので、パソコン買ってよかったと思えますけどね。。

さらに、この年の夏、次の転機が訪れます。
建設会社で現場監督の仕事をしている方と話をする機会を得ました。
「土木の施工管理試験に比べれば、造園の施工管理試験は簡単さ。土木の試験だって過去問題集をやって受かったのだから、造園なんて過去問一週間前からやっても取れるよ。」
ですって!
根が単純で、負けず嫌いな自分は、感心して聞きながらも、これを「挑戦」と解釈しました。
必ず、過去問だけで合格してみせる!夕日に誓った夏でした。

転機というのは訪れるときは続くものです。秋に足を骨折します。
この時期、仕事のことと人間関係で悩みを抱えておりましたので、集中力が散漫になっていました。
荷を右足の甲の上に落とし、骨にひびを入れ、全治2ヶ月。1ヶ月のギブス生活です。
これが自分にとっては吉となりました。
なんせ、気兼ねなく療養の名目で一日中勉強できるのですから。
この治療中の一ヶ月の集中勉強、が次の年への大きな布石となったのは言うまでもありません。
試験のある9月まで、まだ4ヶ月あるのに、問題集を暗記できるまでなりました。
5年前までの問題を、最低5回繰り返し読んだので問題を見ただけで、答えがわかるようになりました。
我ながらちょっとこわいくらいです。これで7割は完璧に解答できると自信を持ちました。
その後、中だるみしながら9月を迎えることになります。


試験を振り返って
実際の試験はどうだったのかというと、一次試験に関しては、自己解答で86%の正解率がありました。
やはり、過去問とは違うこともでましたし、参考書に書いていない内容の問題も出題されていました。
あきらかに、問題の難易度が少しづつ上がっていると、実感させられました。

同じく二次試験、こちらは記述式ですし、作文が主なので書けないことはないとタカを括っておりました。
しかし、ここにも過去例のない問題があり、頭を抱えました。
しかも、自分は書く練習をしていなかったので、文字数もいい加減だし、漢字を忘れて違う言葉を代用したり、自分の言葉に代えて表現したり、思っていた以上に散々。
二次は人間が添削するし、模範解答がないので、合格発表が出るまで待つしかない状態でした。
12月に試験があり、発表は2月、実質2ヵ月半の時間がありました。
年越しはたいへん落ち着きませんでした。
それにしても、今年から随分問題レベルが変わってきました。講習に行っていればわかったのでしょうか。

これを書いている以上、なんとか合格しました。
ま、この試験に合格したからといって、技術が上がったり、偉くなったとは思っておりません。
ただ、成せば成る。自分も努力すればなんとかなるじゃん!という自信を持てたことが一番の収穫です。
これからも、何かに挑戦する生き方を続けていきたい。
今年も新しい資格に挑戦しますよ!


試験の問題が知りたい方は、全国建設研修センターもしくは、日建学院のHP(ヤフー検索で出ます)などに掲載されておりますので見てください。

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