ワイン、それは世界の歴史の中で最も古いお酒の一つです。
時には神様の飲み物として登場したりもします。
しかし、これほど日本人が好き嫌いを感じるお酒もないかもしれません。
「お酒は好きだけど、ワインだけはわからない。」
「世の中ワインしかなくなれば、酒を止めるのは簡単だ。」
など、自分の周りでも結構厳しい評価を受けることがあります。
かく言う自分も、一時はワインを拒否していたこともありましたから気持ちがわからないではありません。では何故またワイン?
そこには見つけにくく、ハマると深い魅力が隠れていたんですね〜。
このコーナーは多くの方にワインに興味を持っていただきたくて作りました。
裏を返せば、みんなで楽しくおいしいワインが飲みたいな、という下心で書いております。

毎日がワイン日和’本日も晴天なり!’ 楽しくワインを飲みませんか?

酸化防止剤の意味 
 ワインには酸化防止剤が添加されています。中には使われていないワインもありますが、よっぽど伝統的な作り方をしているところ以外、正直添加していないワインの味は劣ります。
 酸化防止剤とは、主に亜硫酸塩という人にとっては有毒な物質を使います。
若かりし時分、添加物に非常に神経質になっていました。酸化防止剤を使わなければ作れないお酒など飲むものではない、と勝手に解釈しておりましたが、ここにきてちょっと学習しました。
例えば、世界最大の生産国のフランスでは、自国のワイン法で酸化防止剤の使用が義務付けられております。 添加することで、雑菌の抑制および殺菌、葡萄の皮に含まれる酸化酵素の阻害、果汁中の色素の固定、ワインで発生することのある過酸化水素の除去などを行います。
ワインは、他のお酒と違い、ブドウを生のまま使います。過熱処理もしません。ですから衛生上も製品にする以上、使わざるを得ないのです。使うタイミングは様々。ただし言えることは、使う量は最低限に抑える努力をしていることです。少量なら人体にもまったく影響がありません。

 主としてブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料を’ワイン’といいます。
 その製法は、お酒の中でも最もシンプル。搾った果汁に酵母を加えるだけ(加えない伝統製法もあります)。例えば日本酒も製法はシンプルですが、必ず’糖化’という作業を間にはさみ、これがその酒蔵の味になるほど大切な要素を持ちます。
 しかし、ワインの場合はストレートに使用するブドウの出来が全てになります。「いい出来のブドウからでないといいワインはできない」と言われるほど、ブドウが命。いいブドウを作るには、いい土壌を作らなければなりません。そのため、農薬や化学肥料に頼らない自然農法や、機械を使わない手作業など、昔に返ったような作り方の中に、データや統計を使用した現代技術を織り交ぜてブドウを作っているのです。
 こんな面倒なことを何人が行っているのかと考えてしまいますが、意外と普通に行われているんです。そんな自然に立ち返った世界観がワインの魅力の一つと言えます。

ワインってどんなお酒なの?

天・地・人の織りなす奇跡 
 ワインの教本にはよく、ワインは天・地・人が一体となって作り上げられるもの、とあります。
天候に恵まれ、土をよく作り、さらには人の努力が加わって初めて納得できるワインができるのです。
もし、天候に恵まれても、人が努力を怠ればおいしいワインにはならず、逆に天候に恵まれなくてもそれ以上に人が努力することで、それを補えることもあります。
 ワインには、収穫年(ヴィンテージ)があります(ただしないもの、わざと記入しないワインもあります)。ヴィンテージによって、同じ製作者のワインでも個性が変わります。そして、そのヴィンテージによって値段も異なるのが面白いところでもあります。
 例えば2005年は、フランスの有名産地ボルドー地方にとって、100年に1度あるかという当たり年!天に恵まれたこの年は、普段凡作しか作れないメーカーでも自然と出来はいいのです。しかし、その前年の2004年などはあまり恵まれた年ではありませんでした。しかし、まじめに作るメーカーでは、一本当たりの木にならせるブドウを3分の1にしたり、ぎりぎりまで収穫を待ち糖度をあげたり、仕込み時間を長くしたりと、それぞれの努力で凡作しかない中でも、人々をうならせるワインを作り上げているのです。
 ブルゴーニュ地方には、ラベルに漢字で天地人が描かれたワインがあります。このワイン、製作者は日本人です。「人は天と地によって生かされている」というメッセージが込められています。彼は自分の畑を持っておりませんが、フランスで愛されるワインを多く生み出せるほど、地元に根付いているのです。
 そういう物語を知り、弛まぬ努力や情熱を感じると、さらに深くワインが知りたくなります。あるワインショップのオーナーに、「人生3回やり直さないと、ワインは知りえないよ。」と言われましたが、まさにその通りです。

ワインの不思議 
 自分が最初にワインに出会ったのは20歳の時。大学のフランス語の先生に、課外授業としてフランス料理を食べに連れて行ってもらった時です。料理は自腹、ワインは毎回先生のおごりで、料理に合わせてセレクトしてもらいます。今思えば大変贅沢な話。その時ワインに対して基本的なレクチャーもしていただきました。
 自分はアルコールに弱い体質なので、遊びでお酒を飲んでも、おいしいとは思えませんでした。
しかし、この時だけは別。ワインって酒はこんなにおいしいものだったんだ!ショックを受けました。その証拠に、一緒に行った女の子たちも飲めない子まで、おいしいと飲んでしまうのですから。
 これですっかりはまってしまったのですが、自分で酒屋でワインを買ってきて家で飲んでも、なんかいまいち。1本5000円のワイン(今なら涎が出る代物)を買ってきても、返って1000円よりもまずく感じます。
きっと、あの場の雰囲気でおいしいと思って飲んでいたんだろうなって思いこみ、その後10年は自分から進んでワインを飲むことはありませんでした。
 それからまた飲み出したのは、社会の変化にあります。輸入食品のお店が増え、お店の大型化し、ネットでも安く何でも手に入る時代になりました。ワインもハーフサイズで1000円前後という画期的な商品の存在を知ったのも、遅ればせながら影響しております。
ワイン専門ショップで店員さんと仲良くなりだしてからは、さらに拍車がかかり、独学でここまできました。
 実際、ワインって雰囲気で味は変わりますね。今でもそう思うことがあります。しかし、それ以上にワインの場合は飲み方にコツがいるのでした。
学生時代の先生のレクチャーをきちんと理解できていなかった自分に非があったのです。

 おしくないと思ったワインでも、時間が経つと味が変化し、格段におしくなることがあります。好みではない、大した味でもないと思ったワインでも、そのワインの相性に合った料理と合わせて飲むと、急に味が引き立つことがあります。グラスをワイングラスに替えるだけで味が変わります。
 他のお酒は料理など気にしないし、飲み方なんてそれほどこだわらないですよね?ワインって不思議な飲み物なんですよね〜。

’開く’瞬間 
 ワインをおいしく飲むコツを書くのは難しいことです。結局最後は好き嫌いの問題ですし、同じように飲んでるつもりでも、それまでの保存状態や、開け方でまったく違う味になるのがワイン。
 よく本にも、気軽に楽しんで飲もうとか、それほど肩肘張らずに接しましょうとか、ワインは面倒なものではありませんよ。って書いてあるのですけど、知らないとおいしく飲めない事項があります。
 きっとこれを読んでいらっしゃる方でも、面倒だな、やっぱり無理だな、って感じる方がいても仕方がないと思います。それだけ手のかかるものだからこそ、うまいっ!と感じる瞬間に出会うときほど幸せなことはありません。
要はそのうまいと思える回数がどれだけ多くできるか、毎回そうなれば言うことはないのですけどね。
 ご存知のように、ワインにも赤、白、ロゼ、炭酸の入ったものなど様々あります。さらには長期熟成型、早飲みタイプなど作り手次第でワインのスタイルは千差万別。
 まず覚えたいのは、そのワインの飲みごろはいつか、ということ。ヴォジョレー・ヌーボのように、作りたてをすぐに飲みたいワインもあれば、熟成に数十年かかるワインもあります。
 通常自分が飲んでいるのは、できて1,2年で飲めるものか、4,5年熟成するとおしくなるワインが主流。それはワイン全体でもそのタイプが主流だと思います。
しかし、どのスタイルであっても共通することがあります。それが、’開く’という瞬間です。
 ワインは空気に触れると熟成が進行します。ですから、飲むために栓を抜いた途端、熟成が加速します。そして、熟成が進んだあるところで、味が変化する瞬間があるのです。
例えば、開けた時は渋かったのに、しばらくするとまろやかな味になった。すっぱい感じで飲みづらかったのに、それが嘘のように甘く感じるようになった。などワインの本来持ち合わせている味に近くなる瞬間があるのです。それを我々は’開く’という言い方で表現します。
 それによって、飲みごろより早めに開けてしまったワインも、待つことである程度ポテンシャルを引き出すことができるのです。
 難しいのは、その’開く’ということがいつなのか?開けた瞬間から開くものもありますし、ものによっては1,2時間かかる、下手をすると翌日の方が開いて感じる。
そもそも、開いているのがいつなのかの判断がつくかが疑問。
 正直、自分でもよくわかっておりません。もう少し置いておく方が開くと思っていたら、味が貧弱になっていく反対の閉じる状態になったり、開いたと思っていたらまだ先があったりとなかなか容易くないこともあるんです。このあたりは経験しかありません。
 味覚を研ぎ澄ませて飲む中で、最高の味を舌に記憶させていくことが大切です。
聞くと本当に面倒な気がしてくると思います。しかし、これが慣れてくると楽しい作業になってきます。他の味が知りたくなってくるんです。

おいしく楽しく飲みましょう 
 長々語って来ましたが、おいしいワインを飲むのはどうしたらいいのでしょうか?
 一番大切なのは、試飲会などに参加して、世の中でおいしいと言われるワインの味を知ることです。どういう味がおいしいのか知らねば、開くなんて話をする以前の問題ですからね。
 次に、自分のおいしいと感じるワインに出会うことが大切です。標準的なおいしさと、自分のおいしいと感じる味とは違うはず。こういう味が好き、というワインを探してみましょう。
それには、より経験値の高い方と一緒に飲むのがベスト。勧めてくれたワインが、自分にはどういう味かを伝え、もっと酸味の強いものとか、フルーティーなものがいいなどと伝えることで、さらに別のワインを選んでくれます。それを繰り返すうちに、好きな味覚もわかってくるし、飲み方も自然と身に付きます。
 何より大切なのが、気安い人たちと楽しく語らいながら飲むひと時。楽しい中で、おいしいワインを見つけられれば最高の宴になりますよ!。
 ワインは五感で飲むものです。目で見て、香りをかいで、舌で転がし、喉で感じ、余韻を味わう、それを言葉に表すことで、よりワインも理解できます。
具体的な言葉に表すということは、味覚も鍛えられますし、頭も鍛えられます。いかに言葉に変換するのが難しいか、やってみるとわかりますよ。
そのイメージを他の人はどう感じているのか、わいわい言いあいながら飲むのも一興です。
 自分は毎月のように、誰かとワインを飲みます。それが初心者かベテランかは関係ありません。ワイン以外の話にも盛り上がりながら、さりげなくワインの話をし、相手と感じる印象を話し合うと、それだけで自分も感じることが多いです。
 また、自分がうまいと思ったワインを、相手がどう捉えてくれるかも知りたいところ。よく近所の連中と催すパーティーは、そんな酒好きがワインを問わず人に教えたいお酒を持ってくる場となっております。

おうちワイン
 自分も基本的には家で一人で嗜んでおります。飲んでみたいワインがあるとストックしておくので、どうしても数が増えて困ることもあります。
 家にワインを保存する場合、約束事があります。ワインは温度変化に敏感。特に夏の暑いときなど、高温になるところに置いておくことはやめたいですね。
ボトルにはわざと色がついています。直射日光に負けないためでもありますが、熱劣化が一番ワインを痛めますので冷暗所、できれば一定の湿度もほしいです、での保存が必要です。
 とは言え、冬ならともかく、意外と夏はどこに置いておいても暑くなります。
自分は冷蔵庫も選択の一つと思っております。ただし、冷蔵庫はワインにとっては冷えすぎの場所。
熟成が進まなくなりますので、長期熟成タイプは向きません。早飲みタイプや、長期保存しないワインならいいのではないでしょうか。
夏は冷えたワインがうまいです。自分も白やロゼワイン、デザートワインなどは、数本冷蔵庫に収まっていますよ。

 ワインはビールなどと違って、開けてグラスになみなみ注いで、一気に飲み干す芸当はできません。
前回書いたような、開く瞬間までちびちび飲むか、我慢する、もしくは飲みたい時間を見越し、前もって開けておく必要があります。
 本来、香りや味を際立たせるなら、あまり冷えていない方がおしいです。どのワインでも必ず10度以上の温度で飲みたいですね。常温保存していた赤などを、栓を抜いてから一度冷蔵庫で30分くらい冷やした後に飲むというのも、他人からは邪道と言われるかもしれませんが、初心者飲みにはいいです。
 自分はアルコールが得意ではないので、いつもフルボトルは2日に分けて飲みます。専用の栓をして、冷蔵庫で保存し、翌日または翌々日飲みます。おいしくないものもありますが、中には1日目よりも味がこなれてまろやかになっているものあります。
そんなときは、お酒に弱くて得したと思いますね。
 最終的には、個人の好きな飲み方でいいんだと思います。氷を入れてもおいしいし、ジュースで割ってもおいしいです。最初からこれをやらずに、基本を知ってからアレンジを考えると、アレンジそのもののレベルが上がるからまた楽しいのです。

ワイン作りは農業 
 ワインを作るメーカーには2通りあります。自分のところでブドウから作るメーカー、他所で作られたブドウないし果汁を買い取り、自分でブレンドしてワインに仕上げるメーカーです。大手などはその中間の、自分のところのブドウと、他所から買い入れたブドウの両方を使用します。
 先に述べたように、いいワインを作るためには、いいブドウを作る以外に手はありません。確かにワインの仕込みにもしっかり手をかけねばなりませんし、製法は蔵元によって違います。しかし、ブドウそのものにポテンシャルがなければ、いかに努力してもいいワインにはなりません。
 驚くことに、いいブドウができない年は、ワインを仕込まない、というメーカーもあるんですよ!それほどワイン作りに命をかけている人もいることを知ると、ますますワインが好きになりますし、それほどブドウ作りが一番の要素であることになります。
 フランスの超有名産地のひとつブルゴーニュ地方に、アンリ・ジャイエという方がいらっしゃいました。ジャイエの後にジャイエなし、つまり彼のワインに匹敵するワインを作れる者はいないといわれる、’神様’のあだ名を持つ、ワインラバーなら知らぬ者のいない人物です。彼も、「私は、生涯一小作人としてブドウを作ってきた。」というほど、畑仕事をこなしていたんです。他のお酒のどこに、そこまで原材料に命をかける人がいるでしょうか?自分は、ワイン職人は農家なんだといつも思います。

← ボルドー5大シャトーの一つ、シャトー・オー・ブリオンを有する、
  ドメーヌ・クラレンス・ディロンのラインナップ。
   比べて飲むと、ブランドの上に胡坐をかいているだけではない
  意慾が伝わってきます。感動します!

→ ブルゴーニュ地方の代表的産地が終結!
 やっぱりブルゴーニュ地方は一番好きですが、一番味が難しい
 エリアです。いつかここに並ぶワインを普通に開けられるように
 出世するぞ!(…無理かな)
  ボルドーとブルゴーニュ、巨大な双璧です。やはり思い入れが
 一番強くなります。

 おいしい料理に料理に合わせてワインをセレクトします。どちらも引き立て合う関係を、’マリアージュ(直訳すると結婚)’という言い方で表現します。
 料理に合わせてワインの種類を選ぶ、逆にワインに合わせて料理を考える、慣れてくるととてもワクワクする作業です。これも他のお酒にはない楽しみ。

 イタリアのワイン、カサーレ・ヴェッキオ・モンテプルチアーノ・ダヴルッツォ。通常1本のブドウの木に8房生らせるところ、このワインの場合たった2房しか生らせないという衝撃のワイン。この果汁の凝縮感と濃厚さは、簡単に開く味ではありません。それが1000円代で買えるところも衝撃!全てが規格外のすごさです。

↑ 開くまでただ待つばかりではありません。時としてデキャンタグラスを使います。
 ボトルの底にたまった澱を取る目的もありますが、このようにワインをより多く空気に触れさせることで、一気に
 ワインを開かせることができます。
  気をつけたいのは、何でもデキャンタしてしまうと返って熟成させすぎてワインの味を壊します。
 聞くことができれば、買うときお店でそのワインの飲み方を教えてもらうといいですよ。

 我が家のお米を保存する予冷庫。
室内温13度で湿度もばっちり!ここの一角を勝手にワインセラーとして使っております。常時30本くらい納まっておりますが、だんだんスペースも広がってきて家族から迷惑がられております。

 別部屋の冷蔵庫のチルド室も占領中。

 普段使うワイングラス各種。クリスタルガラスから100円グラスまでいろいろ試しております。
 実際使うものはかぎられていますけどね。
でもやっぱりグラスは大切なアイテムです。

何とかまとめてはみましたが、伝えたいことがありすぎて、この程度にまとめるのも大変でした。
書きながら自分でも、面白くない!と内容に納得できない面もありますし、一言「飲み会やりたいひと!?」って聞いた方が早いのかと思うところもありました。
とりあえず形にして伝えることが大切と割り切り、掲載いたします。
今後もうちょっとつっこんだ内容のページも作成する予定です。
が、それにはこちらももっとワインがわかるようになってからですね。