本土寺 〜あぢさい寺〜(千葉県松戸市)
本土寺は、約700年前に日蓮大聖人から、長谷山本土寺の寺号を授かったことからはじまりました。
本土寺の’本土’とは、お釈迦様が本当の佛(本佛)となって住む国土、’本土’に由来します。
花は、本佛に捧げるものであり、宝樹である、とパンフレットに記載されています。
通称’あぢさい寺’(パンフを参考に、ここでは’ぢ’を使いました)と呼ばれているだけに、境内には1万株の紫陽花が咲き誇ります。
他にも、桜が100本、花菖蒲が5000本、紅葉が1000本植えられており、紫陽花だけではなく、紅葉のライトアップでも賑わい、四季を通し見所のある「四季寺」として親しまれています。
本土寺というお寺は、有名でありながらもきちんと来たことがありませんでした。
周りは狭いし、住宅街の一角だから、行くのも面倒だしそれほど見るものはないかという先入観もあって、中に入ったのはこれが初めて。
ですから、こんなに広いとはちょっとびっくり。
植物の多さもそうですし、建物も多さもすごかった。
次はモミジの季節に、ライトアップする夕方を狙って来てみたいと思います。
へ行く
桜やケヤキの大木の並木道を抜けながら、参道を進んで行きます。もう閉門間近なのに、さすが日曜日は賑わっております。
遅いせいで、本山そばの無料駐車場に入れてラッキーです。
夏至が過ぎたばかりで、まだまだ日は長い!我々と同じように、これから参拝に行く方々が多くいらっしゃいました。
お土産屋さんも大盛況。桜のアイスに、とうふのアイス…、この参道は誘惑が多すぎます。焼き草もち発見!うまそーだな〜。しかーし!時間がないのです。全て我慢です!
やっと入り口に到着。
その瞬間、目の前の警備のおじさんから、「あと18分で閉門ですよ。急いで!」の声。
それは先の、あけぼの山公園のときより忙しいではありませんか!急げ!急げ!
入り口にある仁王門。2仁王様が控えております。
周りを取り囲む大木も、ひときわ立派です。
正面にある椎の木は、空が見えなくなるほど枝を伸ばしています。
側面から見るモミジは、大きさこそ大木とまではいきませんが、紅葉の時期の期待感を、嫌でも駆り立てられる茂り方。
この木々のおかげで、暗くて写真撮影はできませんでしたが、それでも、大木に負けない大きさの仁王門は、迫力十分。
仁王門を、下り降りると受付。
すでに周りには紫陽花が咲いております。
結婚式を終えたばかりの猫姉も、何だか春の頃より艶やかに見えます。
大人の魅力が出てきたかな?
境内への入り口です。
閉門間近のため、門もかなり狭められています。
ここで出直す選択など毛頭ありません!
Go for break ! 当たって砕けろ!です。
入ると、広いスペースが存在します。
しかも、まだ結構なお客さんがいます。
それにしてもすごい!低木はほとんど紫陽花。
さすがあぢさい寺というだけあります。
本来ならゆっくり眺めてから行動したいところですが、いかんせん時間が!入って右手に「順路」の矢印がむいているので、そちらにある五重塔に進みます。
平成三年に建立された、まだ新しい五重塔と、県下で二番目に古い、文化財にも指定されている梵鐘のある鐘楼。
まわりでは、ちょい盛りを過ぎた紫陽花が、散り際の美しさを存分に見せております。
境内の山モミジに、羽が生えたような翼果がたくさんついていました。それに見とれて顔を動かすと、初めて見る樹木があります。
遠くから見たら、枝垂れ桜かと思ったのですが、近づくと桂のような葉っぱ。幹に付いていたネームには、しっかりと’枝垂れ桂’と書いてあります。
勉強不足で、そういう木の存在を知りませんでした。
後で調べると、やっぱり珍しい木のようで、岩手には数本存在し、天然記念物にも指定されている木もあるようです。
盛岡市では、これが市木になっています。
板に、何やら書かれているのですが、かすれていて読めませんでした。
枝垂れ桂の裏手には、苔とモミジで作られた植栽がありました。
鮮やかな緑が目に潤いを与えるようです。きっと紅葉もすごいでしょうね。
左写真が本堂。
そこをかすめて順路の看板が続きます。
再び苔とモミジを楽しみながら、いよいよ紫陽花も本番の植栽地に向かいます。
いつ頃から紫陽花で有名になったのかはわかりませんが、品種は昔ながらの手毬型と、その母種である額紫陽花が中心です。
しかしこれだけの数がそろうと、小道というより街道です。もう色がくすみはじめているので、あと一週間早ければ盛りの時期を迎えたころだったでしょう。
それでも、圧巻でした。
紫陽花(あじさい);ユキノシタ科アジサイ属の低木。万葉の時代より親しまれてきた、日本原産の植
物。元々はガクアジサイから品種改良され、江戸時代シーボルトによりヨーロッパ
に紹介され、改良された品種がセイヨウアジサイ、ハイドランジアなどの名前で、日
本に逆輸入されている。
ガクアジサイの変種であるアマチャは、今でもお釈迦様の祭にはかかせない植物
になっている。
紫陽花の小道を縫っていくと、下り坂になってまいりました。
そのまま道なりに下っていくと、菖蒲池に出ます。向こう岸にもたくさんの紫陽花が咲いているのが見て取れます。
すでに菖蒲の花は終わりかけでしたが、雨交じりの天候の下、水辺に咲く花々がしっとりとした趣を醸し出しておりました。皆さん、あと10分で閉門なのに先を急ごうとしません。
ここにいると、その気持ちがよくわかります。
菖蒲池の対岸に回ったところ。
尖った頭を持つ宝物殿と、孟宗竹の間の小道から下りて来ました。
見事に紫陽花が咲いております。遠くから見ると、すごい数の株があることがよくわかりました。
日像菩薩を安置している像師堂と、それに繋がる回廊。今回は紹介しておりませんが、建物だけでもすごい数があります。基本的に内部は入れませんが、ミニツアーが開催されており、それに申し込むと案内してもらえるそうです。
像師堂の前に、’苔と杉木立の遊歩’道なる立て札がありました。しかも瀧もあるとのこと。
これは迷わず行くしかありませんね。稲荷さまの前を通って遊歩道に入ります。
稲荷さまはご機嫌斜めでしたか?ピントがボケました。スイマセン、お邪魔いたします。
遊歩道といっても、数十メートルの長さしかありませんが、苔と杉この時期ならではの緑色を見せてもらえました。
自分も庭作りの際用いるのですが、高木とグランドカバーの組み合わせにより、植栽に高低差を思いっきりつけます。
すると、庭全体が立体的になるだけではなく、広さを感じることもできます。もちろん使う場所やお客様次第ですので、これも一つのテクニックと思ってください。
また、一般的に関東平野で苔を庭に扱うのは十分な管理が必要です。初心者は玉竜をお使いすることをお奨めします。
中間地点に瀧が現れました。
水底には、黒い玉砂利が敷かれております。
水辺のミョウガがきれいでした。
この瀧から流れた水は、像師堂正面の参道にある、弁天池に流れ込みます。
こちらの護岸は石組みですね。
丸みのある石の配置は、流れの細さと緩やかな蛇行をあわせ、女性的な柔らかさ、仏の慈悲を感じますね。
杉木立の間から、池の中にある弁天堂が見えてまいりました。
野村か、猩猩モミジでしょう、赤葉のモミジが、社を鮮やかに飾っているのが印象的でした。
池の中に咲く、白い水連と、紫陽花の花がいいバランスです。秋は、紅葉でライトアップされるポイントでもあります。
別ページで詳しく特集するつもりなので、この場では触れる程度にしておきます。
日本庭園を見ていると、何となく池の中に石が立っていたりしますね。あれは、適当に立てるわけではなく、実は一つずつ意味を持たせて立てています。そこには、ちゃんと作法が存在するのです。
もともと日本の庭の発想の中には、極楽浄土を透写した形が非常に多いです。
石組みも、極楽浄土を例えたものをイメージしています。
この弁天池にある石は、3つの石で構成されています。これは基本中の基本である’三尊’の配置です。極楽浄土へいざなう、来迎仏を象徴しております。日本庭園は、そういう人々のあの世への思いと祈りの象徴でもあるのです。
瑞鳳門の前で、美女と待ち合わせ。
何を見ているのかと思ったら、「この竹垣かわってるよ。掲載しなきゃ。」ですって。
何やら植木屋さんの奥様らしくなってまいりましたね。大津垣の変形でしょうか。見習いたいつくりです。
個人的には、今風の大花の紫陽花より、原種に近い、小花の山紫陽花が好きです。
赤花や、八重咲きなど見ごたえのある品種もあります。こういう小型の紫陽花が庭で可憐に咲いているのを見つけたとき、幸せだな〜と気が抜ける瞬間です。
このまま道なりにカーブを抜けると、入り口に戻ります。なかなか何と見ごたえのある道のりでした。
表の参道から抜ける道は大渋滞。
だったので、参道の風景を、車の中から二人で撮影しました。ここの並木はすごい太さです。ケヤキが基本のようです。
おしゃれなお店も多いですね。食べ物屋さんだけではなく、花屋、雑貨屋さんなど多数あります。
ディスプレイ越しに、蕎麦うちの実演をしておりました。
見ているだけで、口に蕎麦をすすり込む情景が…。腹減った!
目の前に立っている電柱が見えますでしょうか?
景観の邪魔にならないように、表面を茶色に、偽木のように加工してあります。
この電柱はなかなかいいものですね。
松戸市も粋なことをします。
コンクリート丸出しの電柱と違い、かなり風景に溶け込んでおりますね。