古河総合公園
 (茨城県古河市)

ここは茨城県古河市にある都市公園です。設計者は、景観学者の中村良夫氏。
市民が集う、現在の入会地として、また「人間の歴史と自然の変遷がない交ぜになった有為転変の風景」を意識して設計されているそうです。中村氏ははさらに、「パークマスター」制度を提案し、公園の維持管理だけでなく、イベントを企画・実施して、公園の顔となる役割を担うものと考えているそうです。
今までに聞いたことのない言葉がたくさん出て参ります。
それだけ意気込みのある、意欲的な公園であると思ってよいでしょう。
2003年日本で初めてユネスコの’メリナ・メルクーリ国際賞’を受賞してもいます。

この公園は、自然をうまく生かしながら、色々な要素を詰め込んだ面白いながら忙しい公園です。
最初、池に落ちる危険性や、怪我のことばかり考えてしまいましたけど、実はそのくらいでちょうど良いのかもいれません。
ここは、起伏がある割に手すりなんかもありません。
あえてつけないことで、本来の自然の中のイメージを大切にしていると判断しました。
自然と文化の融合、その意味合いは公園を一巡りするとわかることです。
受賞した賞の重みはわかりませんが、難しいことは設計者に任せて、こちらは自分なりの楽しさを求めて公園を訪れることのできる場所です。こういう場所として、この公園はかなり完成されていると思います。
できれば端から端までくまなく歩いて、その場にちなんだ地名碑を読んでみたいものです。

最後にもう一つ付け加えると、確かにこの公園は意味づけを多くしています。
しかし、その意義に賛同した市民の方々が行動したり、提案したりと、市民の集まる場所になっております。公園においてある、紹介パンフレットを読んでみると、自分も参加してみたいと思う企画が必ず見つかると思いますよ。羨ましい公園です。

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相嶋造園

 今日は上の子供の誕生日です。しかもタイミングよく日曜日。
「もとはどこに行きたい?」と聞くと、「公園!砂場や滑り台で遊びたい!」さすがアウトドア派のお子様です。
 普通のお父さんだったら、向かう先は遊園地なんだろうな〜。ごめんな、公園と聞いて先ず考えたのが、花の取材もできて、さらに遊べるところはないか?です。
そこで選ばれたのが、まだ取材をしていない古河市の公園。歴史ある街だけに、公園以外にも見所はたくさんありますが、とりあえず公園をご案内したしましょう。

 久々のお出かけで興奮気味のお子様たち。えっと、そんなに入れ込まれると、こちらとしてはご期待に沿えなかった場合、フォローができませんから、少し抑えてもらえない?やっぱ無理ですか…。
 桃まつり最終日でもあるため、混むとわかっていたので早めに来ましたが、それでも満車状態。
早く公園に行きたい気持ちはわかりますが、一人で走らないように!

 渋滞は周辺道路にも広がっているようです。
 駐車場はかなり広いし、綺麗に整備されています。それだけ人気なんですね。

 野田の桜は満開ですが、こちらは3〜5分といったところでしょうか、やはりちょっとのタイムラグがあります。また花見に来られるってことですね!

 エントランス代わりの管理棟の前まで来ると出てくるしだれ桜。色が濃くて、花が大きくて、全てが満開に開き、木が小さいながら見応えあります。中央の石が立っている部分は、夏は水が流れるのかな?

 奥様と上の子供は遊具で遊ぶこととし、下の子供と共にベビーカーをおして桃林巡りに行きます。とうりん?ももはやし?実は桃林の読み方がわからない…。

 梅林は結構ありますが、ここまでの規模の桃林はそうありませんね。そういう珍しさはありますが、何故か面白味が薄い。何ででしょう?

 入り口というわけではありませんが、トイレや休憩室、展示室などがある管理棟です。木製で品がいいですね。ただし、スロープはありますが、ベビーカーや身障者には扱いづらいのが困ります。

 管理棟をくぐった先に広がる御所沼。公園の顔でもあります(説明は後ほど)。
 しかし、あまりにも管理等をくぐったら目の前なので、子どもが勢いついたら落ちそうで怖いです。入ったときと同じような段差も気になります。どうも高尚な思想の元作られているのはすばらしいですが、こういう部分はもう少し配慮してもいいと思います。
 まあ、ここを通らなくても公園に入れるんですけどね。

 樹形や木の大きさもありますけど、やはり花の色や形が単調に感じてしまうのが物足りなさの原因かも。綺麗なのは確かですから見ないで帰るのはもったいないです。

 そもそも何故この地に桃?
 江戸時代初期、古河城主土井利勝(どいとしかつ)が、江戸で家臣の子供たちに桃の種を拾い集めさせ、古河に送って農民に育てさせたのが始まり。領地では、燃料となる薪が乏しかったので、成長が早く果実が食料となる桃が選ばれたそうです。明治時代には、花見シーズンに臨時列車が運行されるほど賑わいました。
 古河市では開園を機に、花桃(花を観賞するための桃)を植えて桃林を復活させました。
 公園は1970年代に整備をはじめたようですが、なるほどそのときから花桃を植えだしたということでしょう。約2000本の桃の木があるそうです。何も花桃に限らず、実なりの桃も植えちゃっても面白かったようにも思いますけどね。害虫問題等厄介ごとも増えますが。

 桃林の中には、古河公足利義氏の墓所もあります。もともとこの場所には、興王山徳源院という臨済宗のお寺があったそうで、どちらも一所に同居しております。

 何となく多くの写真が撮れず、桃林を抜けてしまいました。本来桃ももっと花の形や色合い等、さらに植裁の仕方で面白く見せられる気もするのですが、素人にはわからない管理の苦労はありますから言及するつもりはないです。
 梅に似ていながらも、やっぱり雰囲気の異なる桃、古事記にも登場する聖なる樹木としての存在感は、やっぱりいい木ですね。早く樹齢を経てくれるとさらに見ごたえあるものになります。

 桃林の丘を下ったところにある大賀ハスの池です。いつの間にか復活した大賀ハスは、あちこちに広がりました。シダレヤナギが田園風景を感じさせます。

 中から鑑賞するより、この桃色に染まる丘を、少し離れた場所から眺めるのが自分にはちょうどいいようです。木を見て森を見ず、ではなく’森を見て木を見ず’と言ったところでしょうか。いいですね、この稜線の流れ。
 ちなみにこの場所は、花菖蒲園。6月になると、花菖蒲が咲くのでしょう。まだそんな感じには見えないところがたま不思議です。

 今は、花菖蒲の場所にたつなみ草が群生中。言い方は悪いですが、雑草でもこれだけ群生するとつぶすのがもったいない。波立つような花の形と、薄紫がかわいいです。愛好家がいらっしゃのもうなずけます。

 ちょうど桃林を見ながら池から登ってくると、遊具のある広場に出ます。上の子供が楽しそうに遊んでいました。

 負けじと下の子供も遊びに加わります。1歳をすぎて、自分の足で走る楽しさがわかったようです。親としては心配事が倍増です。

 桃林から始まり、広場を横切る流れは、子どもたちを遊ばせるにはうってつけの水場です。夏は子どもたちで取り合いになるでしょうね。

 こんもり盛り上がる富士見ヶ丘。浅間山や赤城山など関東平野をふちどる名峰を眺められるように、御所沼を復元したときの残土を積み上げて作られているそうです。公園のランドマークです。

 小さい子供でも意外と登りやすい山で、しかも見晴らしもなかなか。
 管理棟のそばでは、蝦蟇の油売りの大道芸がはじまりました。ここは立地上、茨城と栃木のいい所が集まるようです。

 このなだらかな斜面、わくわくします!子供が駆け下りて楽しんでいました。
 知らずにスルーしてしまいましたが、この下には自慢のジュラテリアというカフェや、池に面した雪華園という庭も。クジャクも飼われています。

 奥の御所沼原には、屋台の列が。近隣の名物料理の屋台もあり、かなり楽しめます。ステージもあり、ゲストの歌なんかも聞けるらしいです。
 さらに奥では気球乗り体験(有料)ができましたが、風のせいで飛ばせないそうです。残念。

 御所沼の一角が砂浜になっています。無謀な我が家の子供たちには危険ですが、このまま飛び込んで行きたくなるのは自分も同じかも。汀の扱いをよく考えていますね。

 かつて公方様の森にあった小さな天神の祠をしのんで、名付けられた天神橋。
 奥に見える、公方様の森側のコンクリートで支えらた桁橋、広場側のケーブルで吊られた斜張橋、両方に乗りかかったシルバーの中央部分と、三つの構造を使って作られています。ちょうどU字型の沼の中央に架かっています。
 勢いよく歩くとたわんだりして楽しい(怒られちゃうかな)。橋の下にも回り込めます。
 

 御所沼の由来は、畔に古河公方が館をかまえたことにあります。かつては沼でとれたジュンサイを出荷していたそうです。今回は歩きませんでしたが、沼の奥側もいろいろな顔をしているようで興味をそそられます。余裕がある方は、一廻りすべきですね。

 落葉樹の雑木でできている公方様の森。
鎌倉公方足利成氏(あしかがしげうじ)は、1455年古河に移り、この台地に館を構えました。以降、「古河公方」と呼ばれ、五代にわたり約130年間、関東に一大勢力を誇りました。その館のある森を、公方様の森と名付けております。
 道の両側に沼が見えます。あそこはどうなっているのだろう?思う沼の形があったり、施設があったり興味はつきません。こういう道はただ歩いて、木々を感じているだけでも楽しいものです。

 森を抜けると見えてくる古民家。その手前に、看板と石碑が立っています。ここが館のあった跡です。遺構というものはないみたいですね。

 移築保存された古民家2棟。こういうものは、今は個人で管理できる時代ではなくなりました。

 茶畑や、梅林など、季節によって楽しめる花や、付随するイベントを毎回開催しているようです。こちら芋ころがしの坂からさらに外回りを歩くことができ、その奥もまだ拡張中です。これからさらに楽しくなるってことですね!

 どーん!っと枝を伸ばすエノキの大木。今は葉が出ていない時期ですが、ツルが絡まっていました。ちょっとかわいそうですが、そんなのものともせずに圧倒的な存在感を示しています。
こんな親父になりたい。そんな気持ちにさせてくれる木です。
 「エノキってどんな漢字?」前を歩く家族が話しています。
’榎’だよと、心の中でつぶやきつつ、追い越します。
漢字で書くと、不思議と樹木の存在感が増します。

 上の子4歳の誕生日。親父がさらにハゲないうちに3ショット。