完全収録!
忍野八海 (山梨県忍野村)
昔、この地には忍野湖がありました。
しかし、富士山の噴火などによって、湖自体は涸れてしまいす。
ただし全て涸れてしまったかというとそんなことはなく、一部富士山を伏流水とする湧水池が残ります。
その代表的な湧水池が、忍野八海です。
現在では、国の天然記念物、全国名水百選、県新富嶽百景選定地にも指定されています。
20代のころ、何気なしに寄ったここ忍野八海に心を打たれました。
これほどきれいな湧水池が近郊にあったなんて感動しました。
当時は夕方の時刻で、早足で回ってしまったため全てを見ることはできませんでした。
なので、今回はその八つある全ての池を回り、ここに掲載いたします。
なお、富士山信仰の名残なのか、パンフレットをみると第一から第八霊場まで順をおって載っているので、こちらもそれに合わせた順序で掲載したいと思います。
どうも写真では八海の感動が伝わらないですね。
ここは今回来る前から、必ず皆さんにお伝えしようと思っていた文化財なので、先ずは紹介できればいいと思っています。
だって、実際のすばらしさはいくら口で言ってもわからないですもんね。
今度は夏、富士と絡めた写真を撮りに訪れたいと思っております。
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第一霊場;出口池
忍野地域出口に位置するところから命名。面積は八海最大。
幻想的な雰囲気に写っています。
この日の富士地方は、雪に近いような雨がたまにぱらつく冷たい一日でした。
実際、傘を使用することはこの時間にはほとんどありませんでしたが、朝から霧が出て、運転はかなり怖いものになりました。お断りしますが、まだお昼の時間です。
忍野八海中、一番探すのが大変な場所でした。他の7つは近くにあるため歩けるのですが、ここだけは2キロは離れています。
ナビと看板を頼りにここにやってまいりました。
ノバラの実。
さすが一番大きいというだけあって、細長く撮影していても全ては入りません。
池の高い位置に社がありますが、霊場というだけあって、池それぞれに神様が祀られているようです。
第二霊場;お釜池
釜の中でお湯が沸騰するように湧出しているところから命名。八海最小の面積。
この先の七海は、全て一度車を止めた場所から歩けます。どこに駐車するかで行く順番は変わりますので、自己判断でお願いしますね。
我々は一番の中心地に車を置き、放射状に各池を回りました。
雪と、霜柱のせいで足元はぬかるんでいます。気をつけないと足が抜けなくなるような場所もあります。
湧水を導く新名庄川。この川の澄んだ流れに沿って歩を進めていきます。
左写真、青緑に変わっている水面部が、湧水の場所。以前はぷくぷくと勢いよく湧いていたそうです。しかしこんな小さな池で、その部分の水深が7mとはすごい。
その横を流れている小川も美しいです。シダ、コケなど濡れているせいで余計この場所に似合います。
以前テレビ番組で、近所の方がこの辺で夏野菜や果物を冷やして食べているのを見たことがあります。一年中水温が一定である湧水は、まさに天然の温度調節機ですね。
冬の時期の今は、手を突っ込むと暖かかったです。そのせいで、周りがモヤがかったように見えるのかもしれません。
第三霊場;底抜池
見た目は浅い楕円形の池。池底には泥が堆積していて、深さは不明。お釜池と地底で水脈がつながっていると言われている。
この資料館の中に、池はあります。
受付をくぐると、目の前に一際大きな池が広がります。
しかし!これは単なる池のようです。
岸辺に近づくと、すごい量の鯉が寄ってきました。
そんな2重、3重に重なり合わなくてもよいのに。
しかも期待しているようで申し訳ないのですが、我々手ぶらで来ちゃったもんですから、あげるものないんです。
すいませんねぇ。
すいません、これらの池も違いますので。
雪対策に余念がありません。雪だけではなく、凍り付いている葉もあります。そういうことからも植木を保護する必要もあるのでしょうね。
モミの葉が凍り付いています。
流れが水車を回し、水車が小屋の中の臼に入っている穀物をついて砕いたり、粉にしたり。
これが資料館とする民家のようですね。確かにすばらしいつくり。中も見学できます。手前に、隠居家が出てきます。
ヒイチーというらしいですね。
似たようなお飾りは日本中にありますが、富士山を模したような形をしています。
年代ものの道具が並んでいます。実際に使っていたのでしょうね。同じものが我が家にもあった記憶があります。
庭園はちょっと言いすぎでしょう。
植え込みの間を抜け、底抜池を目指します。
確かに足を突っ込んだら抜けなくなりそうな池です。
看板にも、物を落とすと見つからなくなると書いてあります。
でもここも湧水なら不思議じゃないのでしょう。
第四霊場;銚子池
長柄の銚子に似ているところから命名。縁結び池の伝説あり。
資料館を出るとき、その受付の平屋の屋上が展望台になっているのを発見!
早速上がってパノラマを楽しむことに。
この池の奥に、銚子池があります。
実は、先ほどお釜池に向かった川沿いの道の途中にあるのが銚子池。
川沿いを移動すると、左手に出てきます。
看板のイメージとはちょっと違うかな?
縁結びの伝説、関係ないので無視しちゃいましたが、どんなものだったのでしょ?
第五霊場;湧池
ここから眺める富士山の景観はきれい。木花咲耶姫により湧出した伝説あり。
立体交差する川の流れ。昔からなのでしょうか?
ちょうどお店が密集する中心部にあるので、車を停めた方に戻りましょう。
池の相関図を入手。
ここには富士山がありますね。
残念ながら本物の富士山はまったく見えず。
こちらの富士山の下には、富士の雪解け水と書いてあります。見た目以上に深いです。
水深5mですって。
第六霊場;濁池
昔、みすぼらしい行者が、一杯の水を求めたが断られたことから、池の水が濁ってしまった伝説がある。
濁っているのかと言われると、それほど感じはしません。でも、すぐ川と合流しているせいか、池と書いていないとわからないくらい。
この売店の裏手にに車をおかせてもらっています。てっきり、こちらの一番良く出来ている池が忍野八海のメインかと思っていましたが、ただの湧水地なんですね。
写真ではわかりませんが、訪れてみるとこの透明感に感動しますよ。
まるで水族館の水槽のような深さがあります。円筒形で、真っ直ぐ深いです。
魚がたくさんいます。魚もでかい。そういえば、どこの湧水にも魚がいましたね。
その場にかかっていた看板から抜き出してみました。長い年月の間に変化してきたことがわかります。
さすが名水!やわらくて甘いです。あちこちにかかっているトウモロコシは保存食?鳥の餌?
周り続ける水車。完全に苔むしていますが、もちろん現役です。ただし作業で使っているかは不明。
店の土台部から池に滴り落ちる水。
これもおいしそうにろ過されています。
第七霊場;鏡池
風のない日には、ここに富士山が写るところから命名。ことの善悪を見分ける伝説がある。
春には池の脇にある桜が、湖面に美しく映えるような池です。今はちょっと寂しい。
第八霊場;菖蒲池
名前の通り、菖蒲が生えている池。旧正月には、粥の神事を行い五穀豊穣を占う。
細長い池で、周りに畑や田んぼがあるところが今までの池とは違うところ。和歌が刻まれた石碑が残っています。
そういう歌碑は、他の池にもあったようです。
隣接する公園。
さらに公園に隣接するお店’かぶき茶屋’。
お土産も売っています。アバウトなところがおもしろいお店です。行ったら寄ってみてください。
のどかな田舎の道路になりました。自分の家の近所のようで、ほっとします。
帰り道、道祖神を発見。ちゃんと祀られているようです。
駐車場に戻ってくると、目の前の池で店の方が、大きな鎌で池の中の水草を切っています。
何をしているのか聞いたところ、人見知りの方なのかずっと押し黙ったままでしたが、一言「伸びたから。」と回答。
水の中でもお手入れは必要なのですね。そのまま切った草は餌になっちゃいそうです。