花田苑 (埼玉県越谷市)
越谷市が花田土地区画整理事業地区に整備を進めて完成したのが「花田苑」です。
2.1haの広さがあります。
池泉回遊式庭園として平成3年10月1日に完成しました。
江戸時代までは、庭園なんてお大尽の道楽や目上の方や目の肥えたゲストを招くための場所だったと思います。
中には、職にあぶれた民衆を救済するために庭を作らせた篤志家もおりますが、作っている人にとってはそれが何であるかはそれほど気にしていなかったのではないでしょうか?
今では公園の延長上で、誰でも気軽に楽しめ、その文化や精神を学べるようになりました。
個人が庭を公開する世の中ですからね。
この花田苑は、そんな中にあって、庭園技術の博物館たらんとしているのかもしれません。
すごい内容の詰め込みを感じますし、わび、さび以上の解放感がありすぎます。
けれど、子供つれで安心して歩ける、気軽に来られる、庭園初心者には勉強になる、そんな意味でこういう身近にある庭園はすばらしいものです。
年数を経て、この時代の代表庭園になるかもしれませんね。
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こちらは現代の作品である上に、特別な庭園的価値があるわけではないかもしれません。
正直、名庭の中に入れるべきか悩みました。
それでも今回採用したのは、それだけこの庭園が本格的に作られているところです。
これほどの規模の庭園を市で作ったという自体すごいことですし、越谷市は文化芸術に力を入れていて、公共の建物の統一感など、我が市と比べ物にならないほど計画的に作られています。
花田苑も、その一環として周囲に公共施設を配置、ここは単なる市民の憩いの場以上の高尚な精神を感じる場所です。ということから有名な庭園ではありませんが、その精神に敬意を表し、ここに掲載させていただきます。(なんか偉そうな書き方ですいません)
住宅街の間に忽然と存在する施設です。向かいの駐車場に車を止め、入口に進みます。外側からでも何だか期待感をそそる雰囲気があります。
この正面の道は、もちろん一般道。普通に車が通っています。しかし、整備された道を見る限り、普通の道路には見えませんね。
ここには電柱はおろか、高い街灯もありません。おしゃれな街灯があるだけです。緑も歩道を分ける目的か、きれいな配置。今はここだけのようですが、住宅街全体もこんな雰囲気にするとさらにいいと感じます。ま、管理費大変ですけど。
実は入口間違えました。こちらは併設されている、日本文化伝承の館と能楽堂への入口でした。こちらかも行けるそうなので、行ってみましょう。
周りを竹垣で囲まれた一角が花田苑です。建物内で入場料を払い、たまたま同じ方向だった職員のお姉さんと庭園裏口より入ります。
こちらの入場料は100円です。どう見てもそれ以上の価値がありますから、これはお得です。
しかし、きれいに本物の竹垣をこれほど長く作りましたね。
ちょうど植木屋さんが手入れの真っ最中で、トラックが何台か止まっています。
ミツマタのつぼみが目の前にありました。春近し。
こちらが花田苑の全景です。
自分は左下より侵入。
中心の池泉を囲むように2重の園路があるようです。
先ずは池泉周囲の内円を左回りに1周して、案内図の真ん中下にある築山まで行き、今度はそこから右回りに外周を回って、今のところに帰ってくる予定で歩きます。
伝承の館をかすめるように園路があります。右手では藤棚の手入れをしていました。
その横にあるしだれ桜がなかなか。しかし本格的な作りの立派な建物です。
藤棚の前に可愛く鎮座する岬灯籠と、近くにあるのしだれ桜。
庭園灯も、今風のしゃれたデザインです。庭園内いたるところに存在。
視界が開けました。
あの対岸の築山の、滝のあるあずま屋を目指し、池泉を一周します。
池の広さは約4000u。カメラではお伝えしきれないのが残念な開放的な空間が広がります。視界を妨げるものがなく見渡せる作りということも、実は多くの市民の集まる公共の施設ならではの意図的設計なのかも。
この水際は、杭を用いて護岸されています。その先には州浜があります。
先に小さな水門が見えてきました。水音が心地よく響いています。
現れたのはアヤメ園でしょうか?
その上に八橋がかかっています。
感嘆するのは、ここの水がきれいなこと。濁りも少なく、臭くありません。
左手には、建物わきに大木を発見。タブの木です。かなりの太さのある幹に、布を巻いて保護しています。まさか移植したのでしょうか?
さらに先には梅の木の列植が出現。ちょっとした梅林になっています。全てに手が入れられ、きれいな状態ですね。
進む道の先に、すごいコンビネーションの橋が出現。渡っていいの?
それぞれイメージの違う橋が3本連続してかけられています。まるで庭園の見本市のように、いろんなものが登場します。
この先に茶室がありました。
出現した茶室の周りには、紅白の梅の花が彩りを添えます。
庭園内のいい見晴らしポイントに茶室は作られていて、飽きない景色を映し出します。
数寄屋作りの茶室は、木々に隠れてうまく写せませんでした。
それにしても、こちらの待合でかっ!誰でも借りられるそうですよ。
船着場!?こんなものまで用意してあるんですね。凝っています。
池泉と船着き場を分ける流れを渡るための太鼓橋。
どれも本物の木材を使って作られていることも特筆すべきですね。
橋の先には、島が見えます。ここは汀の様相が変化して、やさしい波打ち際に来たようです。こういう変化もそつがないですね。持てる知識の中でやれることを全てやる、ような意気込みを感じます。
池泉の反対側には、打って変って渓流のような景色が作りだされています。
笹で覆われた築山が見えてきました。幾筋も登る道がありますが、1周するためもっと先まで歩きます。
ここも梅林になっています。また、池泉もよく見えます。
ちょうど逆光でうまく撮影できませんでしたが、大滝がありました。段差をつけてきれいに流していますね。石の大きさがまちまちなのがいいです。特に縦型の大岩が味あります。演出の細かさを感じます。
あずま屋が見えてきました。
園内で一番高いところです。裏手に竹林を背負っているせいか、山に上った感覚を持ちました。
あずま屋の隣に湧水地を発見。ここから池泉に水が流れ込んでいるのですね。この高さに作るのは大変なことでしょう。
木々のせいで、写真は大したことありませんが、のんびりしたくなる場所です。
築山に続く道筋4本が、それぞれ微妙に造りが違っているのもきっと見せ場です。この設計者、かなり贅沢に盛り込みましたね。
最初に出会った竹林が出てきましたので、今度は外周を回るように歩いてみましょう。
正式な入口が見えてきました。
横にポストがあります。昭和24年から使用されていた1号丸型ポストだそうです。角型に切り替わったことで、寄贈された品だそうで。
これが本来の庭園の正門。地元の名士宇田家の長屋門(復元)を移築したものらしいです。
くすの木の大木ですね。やっぱり巨木があると落ち着きますね。住宅街のせいでしょうか、大木はどれも常緑樹ですね。
外周を歩き出します。散歩道のような道筋。藪椿たちがきれいな花を咲かせています。
先の方で職員の方が清掃中。たまたまなのか、ずいぶんどこかしこもきれいにしている庭園ですね。
初めて見ました!石をくりぬいてスピーカーが設置されています。この庭園はBGMつきなんです!琴が流れているのですよ。
これも凝った竹垣があります。竹を縦に裂いて、波状に編んでいきます。手間のかかるもので、よくプラスチックなど擬木が使われますが、全て本物です。これも技術を残す意味なのでしょうか?
お、あそこに見えるは能楽堂のようですね。本格的です。今回は時間がなく帰りましたが、こちらも見学できるようですよ。