上花輪歴史館・高梨氏庭園 (千葉県野田市)
我が故郷の野田市は、世界的に有名な醤油メーカーがあります。
その礎を築いた一族が高梨家です。
17世紀より醸造業を生業として残してきた当屋敷と庭園、日用品、醸造道具などを資料館として
その歴史的価値の高いものを保存公開しています。
平成6年より一般公開、平成13年には「国の名勝」の指定をうけています。
駐車場から見た建物;
見た目以上に内部は歩き応えがあります。
まわりを囲んでいる木は全て敷地内、つくりは江戸時代の建築様式を踏襲しています。
左手の切妻型の屋根の建物が資料館,さらに奥庭へと続きます。
入り口に向かう手前にある、大手醤油メーカーの保存している煉瓦蔵が見ることができます。
有名な御用蔵と共に、醤油見学コースの一つです。間近まで行くことができます。
入り口の冠木門が見えてきました。
ここにある木は、どれも大きいです!
正面の受付です。
門の下でグラウンドカバーに使われているのが、
さつきや、笹などではなく、ツル性の植物(ジャスミンの仲間?)で植栽されているのが、今風です。
資料館の正面です。中は撮影禁止です。
周りには、以前の生活道具や農機具が並べられています。
本宅の玄関前です。
数寄屋つくりになっています。
玄関奥の見通しからは、中庭に植えてある立派な松を
見ることができるようになっています。
残念ながら、一般客は上がる事ができないので、すだれ
の向こう側を想像するしかできません。
玄関前の赤松。
帰り際に、その全貌を見られます。
この前庭には、時代を経て苔むした木々,添景物、意匠凝らした拵えなど、幽玄の世界を
演出するもが数多くあります。
露地を通り、中門を抜け、奥庭へ。
ここの中門は必ず屈まなければ通れない高さ。
この先にある神社や神楽殿などへの敬虔な気持ちをあおられます。
神楽殿と稲荷神社。
散り際のノウゼンカズラが美しい。
圃場を通り、竹林へ。その中には醸造の神様を祭った松尾神社もあります。
まさに醸造会社という感じですね。
庭の奥には、船着場があります。
ここが水運の町、野田を偲ばせる遺功です。
江戸期には、醤油を運ぶ手段として運河を利用していました。
その運河(江戸川)の支線を、屋敷内まで引いてきています。
来客のためも使用していたようですし、水害時の避難にも使われた堀です。
船着場の上に建つ、眺春庵。
来客用、茶室などの目的に作られました。
中庭に入り、書院へ。
そのつくりのよさに関心します!
例によって、内部の撮影が禁止のため、外見のみですが、
江戸期に作られたとは思えない、新しさと、狂いのなさがあります。
廊下を回るように張られているガラス戸に驚かされ、縁側から配置されている飛び石の大きさには度肝を抜かれました!
しかもこの石、京都の本鞍馬石じゃないでしょうか?
玄関から見えた松。
かなりの年代ものでしょう。
苔むし方がすばらしい。
他にも、柏の木の大木(猫姉の右側の木)も目を惹かれます。
とにかく、ここには庭の教科書に出てくるような、つくばいや、垣根が数多く、多種類に配置されています。
園路のあつらえも、理想的です。
いいものを置くことが、良いわけではありません。
しかし、いいものを知ることは大切なことです。一度その目で確かめてみるとよいでしょう。
この庭園の好きなところは、他の庭園は、屋敷前にある大きな庭だけを見せるつくりになっていたり、庭だけをわざわざ作ったりしたものですが、こちらは屋敷の周りを飾るように作られていて、まさに’家’と’庭’、すなわち家庭を本質にした場所だということです。
これなら一つ一つの見せ所は決して大きくないので個人のお宅でも真似でき、組み合わせを参考にすることができます。
地元に、こういう歴史館があることを誇りに思います。
一周するとようやく出口で、入り口にある見事な赤松の全体を臨むことができました。
右下はスタッフの方々。この日だけでも、5人の作業しているの方々を見受けました。
あの角材でつくった三脚で手入れをしているのでしょう。
とても親切な方で、いろいろ専門的なことも教えてくださいました。
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