石楽園&箱根美術館、庭園 (神奈川県箱根町)
箱根美術館は、岡田茂吉氏によって設立されました。
現在は、中世のやきものを中心に常設展示があります。MOA美術館とは姉妹館です。
展示品も国宝や重要文化財を含む見ごたえがあるものが、この美術館、実はすばらしい庭が作られており、紅葉の名所なのです。
さらにこちらの庭園には、普段は公開しない部分があるのです。
それが今回お届けする’石楽園’です。
こちらは、創設者岡田氏の私邸や茶庭があるところで、年に数回特別公開されるのです。
ちょうど紅葉が見ごろになる時期、その公開日を知ることが出来ました。
先ずは、箱根美術館で、いつでも見ることができる庭園からご紹介します
こちらが美術館入り口です。道路の反対側では、紅葉を期待させるモミジの色づきが見られました。
今日はあいにくの雨模様。降ったりやんだり、時に強く降りもしました。
猫姉は(晴れ乞いがうまくいかず)残念そうでしたが、自分は雨でもうれしく思っています。
日本庭園は、濡れているときこそ一番美しく見えるからです。
写真を撮るために、わざわざ水をまいてから撮影するのですから、それを考えたら返って「ラッキー!」です。
開館直後に行きましたが、早くも入場待ちの列ができていました。
入った瞬間、深山幽谷を思わせる沢が目の前に現れます。
この流れには二本の橋がかかっていて、入って右の橋(八つ橋)を渡ると本館に通じ、左の橋(太鼓橋)を渡ると茶室に出ます。
先ずは八つ橋を渡って本館を目指してみましょう。
入り口を中側から見たところ。手前の新しい橋が、八つ橋。
橋を渡ると、道の両側には萩が植えられています。
ここは萩の道と呼ばれ、時期には石に垂れ下がるように萩の花が咲いています。
さすがにもう終わっていますが。
萩の奥には、太鼓橋を渡ると出現する苔庭を伺うことができます。
あと一週間するとやまを迎えそうな色づきです。
木の特性なのでしょうか?同じ木でも紅葉の仕方がまったく違います。
箱根ではあちらこちらで見かけるアセビ。
それにしても大木になっています。
枯らさずに大きくするのは大変な木です。
半日陰を好みます。
右は青シダレモミジでしょう。
紅葉しているほどではありませんが、赤と緑のコントラストもきれいでした。
階段の奥に見えてきているのは、竹庭です。
踊り場をうまく利用したした造りで、参考になりました。
数種類の竹を混植しているのでしょうか?
よく観察して来なかったのは悔やまれます。
管理は大変ですが、このように竹の根元に玉砂利をしくというのも風情が増してよいですね。
本館が見えたら、この道の終点です。
わかりにくい写真ですが、中国風の屋根の載った、おもしろいデザインです。
一度戻り、今度は入り口左側にある太鼓橋を渡ってみましょう。
太鼓橋につながる道は、八つ橋に向かう道とまた違った趣向で作られています。
露地のアプローチのように、細い道筋で、小さめの石で乱張りしてある園路です。
この園路は、橋の渡った先に出現する苔庭を通り、茶室まで我々をいざないます。
これだけの苔をきれいに養生できるのは、山である特性の持てる技です。
苔庭の緑色のしっとりとした癒しを感じながら歩き出しましたが、しだいに‥‥
苔庭が開けだすと、同時に今まで隠れていたモミジが見え出し、緑一色の場面ががらりと変わりました。
茶室の前に至ります。
有料ですが、一服たててもらえます。
茶室’真和亭です。
おとなりに富士見亭もあります。
有料で一服できますが、お店が開店直後から中からの眺望を見るためのお客さんで席が満席です。
それにしても、こちらの木は、どこから根が張っているのでしょう?
幹は石の上にいます。
今回の珍道記は、ここからが本番です!
では早速、特別公開’石楽園’を歩いて行きましょう。
この立て札の文字を感慨深めに見てしまいました。雨の中来る人皆、これを見るために来たのですから。
我々は、一番高いところにある、本館脇の入り口から入りました。
斜面を下っていくイメージで写真をご覧ください。
こんな感じで下っていきます。
もちろん逆から登りながら見ることも可能です。
なぜか入ったらモミジの色が濃くなりました。
一時強くなった雨に、石楽園中腹に建つ観山亭の軒先で雨宿り。
この観山亭前の、芝生周りの石組みが、石楽園の由来なのでしょうか?
この大きな石群は、あったのか?運んだのか?
とにかく石楽園に関しては、資料が手に入りません。
こちらの、立ち入り禁止立て札内に建っている建物が私邸?
洋館と茅葺き(新しいです)屋根の建物が並んでいました。
雨に散るモミジの葉が模様を作る石段をさらに下っていくと、石楽園の見所の一つにたどり着きます。
ここは、多目的施設になった建物の前にある池です。
茶庭の待合いのように、腰掛けられるベンチがありました。
池の前のモミジが、とてもよかったです!全ての木の紅葉が、同じ色になっていないところも、憎い自然の演出です。
山の上なので、雨の加減で、霧が出ます。雨と霧で、撮影は最悪でしたが、何とも幻想的な景色を見られました。。
石楽園を知ったのは、旅行会社のツアーのチラシからです。
こんな庭と紅葉の見所があったなんてまったく知りませんでした。
それからこちらの情報を集めようとしたのですが、ガイドブックにも、ネットでも、満足できる内容がありませんでした。
直接こちらで聞いてみると、月に一度くらい特別公開しているようです。
そんなことどこにも書いていないし、これだけ見ごたえがあるところですから、もったいないです。
余談ですが、箱根美術館はハス向かいの、こちらのMOAで経営している、自然食品のレストランでランチをしました。
自然農法で作られた野菜や、料理を(多分)全て手作りされている、安全でおいしい食事に、二人で大満足です。
最後に注文したコーヒーも風味とコクがドリンクバーではない味。
ミルクと砂糖(これもオーガニック系)をいれても後味すっきり!口直しがいらないなんて。
庭園も、レストランも、もう一度ぜひ来たい場所となりました。
ここにもシダレモミジがありました。
濡れた竹の枝のしなりが、また良いんです。
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