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相嶋造園

玄関前に植えたい! 株立ちの樹木〜その1〜

人気の株立ち樹木、自然林風樹木です。
株立ちとは、根元から数本の幹が立っているもので、造園用語では武者立ち(むしゃだち)という言い方の方が正しい使い方です。
自然の状態に近い形が好まれ、花や実だけでなく、樹木の立ち姿に魅力があります。
株立ち樹木はその8割が落葉樹ですが、葉が落ちた後も数本立っている幹と、細かく残る枝が、意外と目線を遮る役割をするので、特に玄関前や庭のメインツリーとして最適です。
夏の日差しを遮る効果、冬に日差しを呼び込む効果のどちらも兼ね備えているのです。

株立No1;夏椿<ナツツバキ>;別名シャラノキ(ツバキ科ナツツバキ属) 落葉広葉樹 開花期:6〜7月
        夏期に、椿に似た花を咲かせることから、「ナツツバキ」と呼ばれる。
       インドにある、有名な沙羅双樹と名を間違えられ、シャラノキと呼ばれるが、沙羅双樹とは別の木なので
       注意。
      

 場所を選ばず植えられる。日当たりを好むが、西日を避けられるとさらに良い。
伸びは良いが、樹形が自然と整うので管理は楽。
チャドクガ、テッポウムシに注意。

 落葉後も、枝振りがきれいで、数本立つ幹が目隠し代わりになる。
サルスベリに似たつるつるした幹肌も人気。

ピンク花のシャラノキ

株立No2;夏椿<ナツツバキ>;別名姫シャラノキ(ツバキ科ナツツバキ属) 落葉広葉樹 開花期:6〜7月
        No1と同じナツツバキであるが、木がまったく違うので、あえて分けて掲載。

 シャラノキより、花や葉が小さく繊細。
茶花としてはこちらが基本的に用いられる。
樹高が高くなるほど下枝がなくなることと、普通のシャラより西日、乾燥に弱いので、植える場所に配慮が必要。
他の性質は、シャラに順ずる。

 樹皮が大きく斑点状に剥けるシャラノキと違い、太くなるほど茶褐色で、細かく線のように剥ける幹肌。
こちらも魅力的である。
シャラ、姫シャラ共に、非常に人気の高い株立ち樹木である。

小ぶりな花が、茶室に似合う。

株立No3;山法師<ヤマボウシ>;別名ヤマグワ(ミズキ科ミズキ属) 落葉広葉樹 花:6〜7月 実:9〜10月
        白く色があるのは花弁ではなく、包(ホウ、正確には草冠リに包と書く)と呼ばれる、花を保護するため変
       化した葉のこと。白だけではなく、赤系の品種もある。
       丸い花を坊主頭に、白い包を頭巾に見立てたところから、ヤマボウシとついたらしい。

紅葉したナツツバキの葉。

 場所を選ばずに使える。
伸びやすいが、自然と樹形が整うので管理が楽。
虫にも強い。
幹は細かい凹凸があり、古くなると剥けてくる。
古くから日本にある樹木の一つで、日本庭園にも積極的に用いられた。

 尖った包が美しい。ハナミズキを、別名’アメリカヤマボウシ’と呼ぶことがわかる。

 実は、生食できる。
表は固いが、中はクリーミーで甘い。人によって果実酒にしたりして利用している。

株立No4;冬青<ソヨゴ>;別名ふくらしば(モチノキ科モチノキ属) 常緑広葉樹 花:6月 実:11〜1月
       雌雄異株

        葉が堅く、風に揺られて音を立てる、戦ぐ(そよぐ)ところから付けられた。常緑系株立ちの代表格。

 伸びはそれほどでもなく、大きくなると下枝がなくなっていく性質があるので、ボサボサをイメージするとよくない。むしろ、白い斑点が出る、きれいな幹肌を楽しむ常緑樹である。
 虫は付きづらいが、それより乾燥や肥料不足で樹勢が衰えることに注意。

 細かい白い花が咲き、その後雌木には、さくらんぼを小さくしたような可愛い赤い実が付く。

株立No5;島トネリコ<しまとねりこ>;別名タイワンシオジ(モクセイ科トネリコ属) 常緑広葉樹 開花期:5月 
       雌雄異株(ただし関東では花が咲きづらいのであまり気にせず)

        沖縄の代表的樹木。本土でも人気が高くなり、注文が多い。
       ’沖縄のトネリコ’という意味で、シマトネリコと呼ぶ。本土にあるトネリコとは別種であるので注意。

 伸びる量は、本来の性質ほどではない。
ただし、樹形は整いづらいので管理が必要。温度変化に弱いので注意。たまに葉や幹に虫が付くことがあるが枯れることは少ない。
 常緑ではあるが、元々暖かいところの樹木なので、冬に葉が落ちることもある。
 幹は全体に白っぽい状態で、木に大きな面白みはないが、細かい涼しげな葉が人気の樹木である。
最近耐寒性に優れた品種も出始めている。

 ’トネリコ’という漢字がPCに登録されていないので、カタカナ表記になってしまった。

株立No6;白樺<シラカバ>;別名シラカンバ(カバノキ科カバノキ属) 落葉広葉樹 開花期:4月
        生長が早く、荒れた土地でも耐えることができるため、山林では山火事後や土砂崩れ後などに生えた。
       太くなるにつれて、樹皮が白くなり、薄紙のように剥がれる特徴ある樹木。
       名の由来もそこからきている。

 伸びが良く、横に広がる枝が美しい。樹形が乱れるがそれが自然で良いという考えもある。
水分が多く、柔らかい幹なので、特にテッポウムシには注意が必要。
 最近多くなった西洋白樺は、従来のものより幼木の段階から白くなりやすく、枝も斜め上方に伸びるので、管理がしやすく庭木向き。
ただし、どちらも関東の平地の気候だと枯れることがある。
西日が当たらないところがよいだろう。

 秋には黄色に紅葉する。
目立つ花ではないが、山の木独特の形をしているのが庭木ではアクセント。
 樹齢は200年ほどで、樹木としては短い。

株立No7;青膚<アオハダ>;(モチノキ科モチノキ属) 落葉広葉樹 花:5〜6月 実:9〜10月 雌雄異株
        外皮を剥がすと、内側が青色(緑色)をしているのでこの名がついた。
       それは、皮層に葉緑素を持っているためであるが、そのような樹木は少ない。

 伸びはそれほど多くない。自然と樹形が整うが、下枝はなくなっていく傾向にある。葉の量も、他の落葉樹より少なめなので、目隠しより庭のメインに置きたい木である。虫はつきづらい。

 幹は、剥がさない限り緑色を確認できないので、他の樹木と差はない。まっすぐに伸びず、多少歪みながら伸びるところが木に面白みを出している。
葉は、モチノキ科というわりに、柔らかい部類。
小さく目立たない花を咲かせ、秋には黒い実をつかせるようだが、未だ実のなっているものを見たことがないので、確認できず。
 昔はトリモチの材料にもした樹木らしい。

株立No8;桂<カツラ>;別名コウノキ(カツラ科カツラ属) 落葉広葉樹 開花期:4〜5月 雌雄異株
        中国においては、カツラはモクセイのことを指す。’月の中にある高い理想’を表す木なのだが、これを混
       同してカツラノキと呼んでしまっているらしい。
       別名のコウノキとは、葉を乾燥させて、香料を作るところから来ている。

 葉はハート型で可愛いく人気がある。また、黄色く紅葉するときも美しい。
 赤い花が先端につくらしいが、花弁がなく目立たない。

 新芽の時期の、赤く、柔らかく伸びだす若芽も見所。
新しい枝の赤色も良い。

 直立性の幹は、まっすぐ、太く、大きく伸びる。
強く伸びる木なので、街路樹に多く用いられてきたが、家庭でも人気になっている。
自然と樹形は整うが、大きくなるので調整が必要。
葉に毛虫がつく程度で、大きな害は受けにくい。場所も選ばずに植えられる。

 幹は、全体に褐色が強く、それも魅力の一つ。
葉を香料に使うだけに、材にも香りがあり、耐久性も兼ね備えているので、家具や鉛筆の材料にも広く利用されている。

株立No9;黒文字<クロモジ>;(クスノキ科クロモジ属) 落葉広葉樹 開花期:3〜4月 雌雄異株
        以前は樹皮の色から、クロキと呼ばれており、この木を材料に楊枝が使われていたので、楊枝のことを’黒楊枝’
       と呼んでいた。それを宮中の女房言葉で、「〜もじ」と使う習慣から、黒楊枝も、クロモジと呼ばれるようになった
       らしい。香りのある材は、今でも高級楊枝として使われている。

 伸びは良いほうだが、樹形は自然と整うので管理は楽である。
虫はつきにくい方である。
幹が黒っぽいのに対し、枝は黄緑色で、他の樹木との見分けが簡単につく樹木である。

 新芽と同時期に、黄色い花をいくつも付ける。雌株には、秋に黒い実が生る。

株立No10;七竃<ナナカマド>;(バラ科ナナカマド属) 落葉広葉樹 花:6〜7月 実:10〜12月
         堅い材のため、七回竃に入れても燃えないところから名がついた。他にも七回焼くとよい炭になる、
        器に使うと、七回竃が壊れるまで使える、など説があるらしい。

 伸びはよい方であるが、樹形は自然に整うので管理は楽。場所を選ばず植えられるが、新芽の時期は、葉に虫がつくことがあるので注意。
 平地においても紅葉がきれいな樹木の代表であり、最近庭植えとしても人気がある。
枝垂れるように咲く白い花と、冬に赤く熟す実も美しく、四季を通して楽しめる樹木である。

携帯画像のため不鮮明であるが、花、紅葉ともに趣がある。

細かい花が、無数に咲く。

 鮮やかな紅葉は、関東でも変わりない。