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相嶋造園

玄関前に植えたい! 株立ちの樹木〜その2〜

人気の株立ち樹木、自然林風樹木です。
株立ちとは、根元から数本の幹が立っているもので、造園用語では武者立ち(むしゃだち)という言い方の方が正しい使い方です。
自然の状態に近い形が好まれ、花や実だけでなく、樹木の立ち姿に魅力があります。
株立ち樹木はその8割が落葉樹ですが、葉が落ちた後も数本立っている幹と、細かく残る枝が、意外と目線を遮る役割をするので、特に玄関前や庭のメインツリーとして最適です。
夏の日差しを遮る効果、冬に日差しを呼び込む効果のどちらも兼ね備えているのです。

株立No11;青ダモ<アオだも>;別名トネリコ(モクセイ科トネリコ属) 落葉広葉樹 開花期:4〜5月
         堅さと、粘りのある材は、昔からバットの材料として有名。
        最近は、トネリコ人気で、トネリコと呼ぶ方が分かりやすい。
        花などが非常に似たものに、ナンジャモンジャの木があるが、ほとんどはアオダモ。
        他にも白ダモ、ヤチダモなど似た名前の木があるので混同注意。

株立No12;エゴノキ<えごのき>;別名チシャノキ、ロクロギ(エゴノキ科エゴノキ属) 落葉広葉樹 
       花:5〜6月 実:8〜9月

         果皮が’えごい’(えがらっぽい)ことからこの名がついた。
        エゴサポニンという毒が含まれている、果皮を潰してもむと泡が出るので洗濯に利用されたり、
        魚を痺れさせて捕まえるのに利用された。
        材は、傘の柄、床材など広く用いられている。
        地域によって用いられている’チシャノキ’とは、ムラサキ科の別木を指すので注意。
株立No13;樫<カシ>;大きく白樫(シラカシ)と粗樫(アラカシ)に分けられる(ブナ科コナラ属) 常緑広葉樹 
       花:4〜5月 実:10〜11月 雌雄異花

         カシとは、堅い木のこと。この字を一つにして’樫’と書く。
        字の通り堅い材で、建築資材、家具幅広い用途で使われている。
        カシ類は、英語では総称してOak(オーク)と呼ばれるが、同様にカシ類の実もドングリと呼ばれている。
        関東では、葉が細長く、裏がやや白っぽいシラカシが良く使われ、関西では葉が幅広で葉のギザギザが
        目立つアラカシが一般に使われる。
株立No14;ジューンベリー<じゅーんべりー>;別名アメリカザイフリボク(バラ科ザイフリボク属) 落葉広葉樹 
       花:4〜5月 実:6〜7月

         6月(June)に生るベリーということで、この名で呼ばれている。
        ザイフリボクとは、集まった花の形が采配に似ているため、采振り木と呼ばれるが、実はまったく違う。
株立No15;羽団扇楓<ハウチワカエデ>;別名メイゲツカエデ(カエデ科カエデ属) 常緑広葉樹 開花期:4〜5月 
         天狗の持つ団扇になぞられて、ハウチワカエデと呼ぶ.
        俗に、モミジは紅葉、カエデは黄葉というらしいが、中間色のオレンジになりやすい。
株立No16;梅擬<ウメモドキ>;別名オオバウメモドキ(モチノキ科モチノキ属) 落葉広葉樹 花:6月 
       実:9〜12月 雌雄異株

        葉や枝が梅の木に似ているところから、また小さな実も梅を思わせるところから、この名がついた。
       雌雄異株で、雄花は7〜15、雌花は1〜7個の花が集散状につく。
株立No17;小楢<コナラ>;別名ハハソ、ホウソ(ブナ科コナラ属) 落葉広葉樹 花:4〜5月 実:10〜11月 
         名前の由来は諸説ある。しなやかさを表す、ナラナラという言葉からや、平らの意味からと言われる。
        ドングリは、この木の実が基本。しいたけの原木としても有名。
株立No18;隠蓑<カクレミノ>;別名コウノキ(ウコギ科カクレミノ属) 常緑広葉樹 花:6〜7月 実:10〜11月
         葉の形態が、成長度合いによって変わる木である。
        若木のうちは、特に葉先が3つに切れ込み、蓑に似ているところから、有名な昔話をもじってこの名がつけ
        られた。

 細かく無数に付く花が可愛い。
後にこれが翼のある実に変化していく。

 もともと山の木なので伸びはよい方だが、樹形の乱れは少ない方なので、管理は楽である。
 酷くなるような虫のつきも少ない。
 場所を選ばず植えられるが、枝数を増やしたいなら日当たりの良いところの方がよい。

 幹肌が斑点状にコントラストのあるマダラ模様で人気がある。
涼しげな葉が幹とバランスが取れていて美しい。

 アオダモとは、東北の方言から来ているらしい。二年目の枝を水につけると、水が青くなるところから、’アオ’が付いているそうである。タモの語源は、調査中。

 幹から新芽が生えてくるほど強く、成長のよい木。
一度成長が始まると、株立ちの形がなくなるほど枝が充実するので、毎年の手入れはかかせない。
病害虫に強く、日当たりの良いところに向く。
 赤褐色の艶のある幹肌も美しいが、びっしりとつく花や実も可愛い。

 最近は、園芸種のアカバナエゴも人気がある。

 年数が経つ幹は白っぽく見えるが、枝先は黒い色をしている。
そのため、シラカシはクロカシとも呼ばれている。

 伸びは速く、先端部は一年で1m軽く伸びる。
害虫には強く、植える場所も選ばない。
常緑樹というと葉が落ちて散らからないイメージがあるが、新しい葉と入れ替わる時期には、古い葉が大量に落ちるので、やはり掃除は必要である。

 左は、アラカシの葉。葉自体が、シラカシより堅く、緑が濃い。
古い葉ほど葉ののこぎり状のギザギザは深くなる。

 伸びは悪くないが、葉を密にするには時間がかかる。
まっすぐというより、横にしなりながら伸びるので、樹形は乱れるが、それを利用して形のアレンジが効く。
虫はつきにくく、植える場所も選ばない。日陰や、寒冷地にも強いせいか、今非常に人気が高い。
 生りのよい実は、生食だけではなく、ジャムや果実酒にも利用できる。
落葉期の紅葉もきれいである。

 伸びは普通であり、枝も斜め上方に向かって生えていくのだが、大きな葉の重みで開き気味に垂れてくる。
 開いた感じのダイナミックさもよいが、コンパクトにしておきたいなら、剪定や縄で引っ張るなど管理をする方が良い。
 害虫はそれほど気にならないが、幹に穴を開けて侵入するテッポウムシには要注意。

 オレンジ色になる紅葉が大変美しい。

 葉に先駆けて咲く花。
雄花はぶら下がるように咲く。
この後伸びてくる新芽も初々しく品がある。。

 左写真は、コハウチワカエデ。
ハウチワカエデより葉が小さい。
幹もまっすぐめで、癖が少ない。
葉が大きいのがいやな方は、こちらをお奨めする。

 右はシラカシの写真。
アラカシより葉も細く柔らかめ。幹もまっすぐに伸びるのはシラカシの方である。
幹が黒く見えるところから、クロガシと呼ばれることもある。
成長はどちらも変わらない早さがある。

 幹は、ごつごつと曲がって伸びるため、自然な形を生かすスペースが広めに必要。伸びはよい。
 木自体は場所を問わず植えられ、強い木ではあるが、アブラムシ、カイガラムシなどが発生することもあり、それに伴いすす病、こうやく病も発生するので、注意は必要。

 実は、葉が落ちる前の9月ごろから色づきはじめる。
冬は、鳥の貴重な餌となる。
赤ではなく、黄色い実のキミノウメモドキ、白い実のシロウメモドキもある。

 幹は、光沢のある濃い目のグレー。
庭植えだけではなく、盆栽の観賞用にもよく用いられる。

 自然林風の作りにしたい庭に、白樺と共に非常に人気がある。
一本より、株立ちや数本寄せ植えにすると庭に雰囲気が出る。
 蟻が上がりやすいのが欠点ではあるが、病害虫には強い。
 また、枝は横に張りやすく、伸びもよいので、管理は必要。
 雌雄同株ではあるが、花が違うので、雌花にしかドングリはつかない。

 紅葉も見所の一つ。
もともと山の木は、どれをとっても概して紅葉はいい。

 近年の住宅事情により、庭に陽が当たらないというお宅も増えている。
この木は日陰でも育つため、玄関先はもちろん北側や西側などの目隠しにも重宝される木である。

 伸びがよいが、樹形は整いやすい。どこからでも剪定できるのも魅力。
 害虫は付きづらいが、テッポウムシには注意が必要。場所を選ばず植えることができる。
 光沢のある、広めの葉や秋になる濃い紫色の実が魅力である。