浜離宮恩賜庭園 (東京都港区)
潮入の池と二つの鴨場をもつ江戸時代の代表的な大名庭園です。
寛永年間(1624〜1644年)までは、将軍家の鷹狩場で、一面の芦原でした。
その後、海を埋め立て屋敷を建て、浜御殿と呼ばれるようになり、十一代将軍家斉のときにほぼ現在の姿の庭園が完成しました。
明治維新ののちは皇室の離宮となり、名前も浜離宮となりました。
昭和27年11月には周囲の水面を含め、国の特別名勝及び特別史跡に指定されました。
都内に残る唯一の潮入りの池の残る名勝です。
桜のきれいな季節、芝離宮を回りながら、ここにたどり着きました。
春の華やかな花々を中心に、都内でも3本の指に加えられる名庭、浜離宮をご案内しましょう。
今回は広い園内を歩くので、前後編でお伝えします。
これから潮入りの池の正面に回り込みながら、さらに見どころをご案内していきます。
思いがけない見どころがあったりと、この後もお見せしたい光景が続きます。お楽しみに!
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後 編 へ続く
芝離宮から来たら、いつもと違う中の御門の入口が空いていることを発見。初掲載ながら、ここから入ってお伝えしましょう。
料金は300円。いつもながらお財布に優しい価格です。
今回は左全体写真の左側の真ん中から堀を渡り入園です。そのまま下方に進み、右回りで園内を一周、左上の大手門から出るという道筋を通ります。
正直、個人的には浜離宮はあまり庭園とは思えない造りだと敬遠してきました。広いし。しかし、久しぶりに歩いてみて違った魅力も発見です。そんな魅力が伝わればうれしい限りです。
心の準備もしていないうちに、いきなり桜並木が登場です。大きい木ではありませんが、花が咲くと見事です。照明設備もありましたから、夜はライトアップするのでしょう。
桜を満喫しつつ、先を急ぎます。この先は休憩スペースになっている広場。多くの家族連れで賑わっておりました。
この広場を抜けて、その奥にある鴨場を目指します。
正門(大手門)から入ると一番奥になるにせいか、あまりこの奥の鴨場まで足を運ぶ人は少ないのです。
鴨場を紹介する前に、鴨塚をご案内します。鴨場とは遊猟施設であり、江戸時代には、どこの大名の別荘にもあったものだそうです。
浜離宮にある二つの鴨場でも、昭和の代まで実際に使われていたとのこと。
その獲物となった鴨の霊を慰めるために、昭和10年にこの碑が建てられたそうです。
すごい!シャガが群生してきれいに咲いています。と思っていると、目の前に不思議な建物が出てきます。
鴨場から続く細長い堀と、のぞき窓のあるとびらのようなものが出現。
これぞ鴨場で猟をする秘伝です。
中には、目線の位置に細い窓があり、人の姿を見えないようにして鴨を観察できます。右下には竹の筒が出ていて、ここから餌を入れて、鴨を近くまでおびき寄せます。
上は堀側から見た様子。よくできてますね。
どんな猟をするのかは、説明の看板がありましたのでそまま掲載します。これは実際の猟を見てみたいと思いました。
要するに、訓練されたアヒルを囮に、鴨をここまでおびき寄せて、鴨が驚いて飛び立つところを周りで潜んでいた取り手が一斉に網で捕獲するというものです。
近くにはケマンソウの群生があります。野草の豊富さも、浜離宮の見どころの一つ。季節ごとに咲くこれらの花々もぜひ見ていってもらいたいものです。気にも留めていなかった草花の魅力を再発見できますよ。
まったく人がいないんですね。メインからは一番遠い所ですから、ここまで来る人はもの好きな人しかいないのかな?
下写真が’新銭座鴨場’。1791年に作られました。真ん中の島に鴨がいます。今はわかりませんが、あくまでも野生の鴨が降り立つ池を作ったのです。
池の周囲には見張り台が。ここから風向きや鴨の様子を観察して、どの掘りに引き込むか検討します。
やはり大名庭園。
ここにも馬場があります。
この長さと言うのは、馬に乗って走るには長いのか短いのか、たまに疑問に思います。
人が歩くと大変なのは間違いありませんけど。
吉宗ゆかりのトウカエデ、とパンフレットにあります、が数本大木で伸びています。
自分はトウカデより、その下で咲くスミレに目が行っちゃいました。野に咲く花は、野にこそふさわしい、納得です。
トウカエデを見ながら、潮入りの池にかかる中島橋を渡り、中島に向かってみましょう。
大手門から入ると、こちらのお伝い橋を渡り、中島に入ることになります。
さすが休日はすごい人です!お昼どきのせいか御茶屋も行列。
茶屋の中からの眺めはいいですよ。
橋を渡るにも順番でゆっくりと。池の奥にある富士見山を目指します。
潮入りの池のせいか、橋の台座部分は水面以上まで石でできています。
潮入りの池と言っても、言われるまで気がつかないくらい普通の池です。
富士見山です。それほど大きい山ではありませんが、結構な急勾配。子供たちが駆け降りて遊ぶくらいのスリルはあります。本当はやっちゃだめですよ!
潮入りの池が眼下に広がります。
池は確かにこの庭園の見どころではありますが、全体の広さから見ればここだけがメインではないことがわかります。
隣で山吹がきれいに咲いておりました。
地面に着くほど枝を垂らせて花を咲かせている桜。見事な大木でもあります。ここで十分花見もできます。
思い思いに寛ぐ人々。皆さんいい場所を知っていらっしゃる。今頃上野公園は人の渦ですよ。
東京湾側に出てきたので、庭園の外で気分転換。気持ちいい潮風。
水門で隔たれてはいますが、すぐ東京湾に隣接しています。
この周辺も桜がきれいです。
再び庭園内に戻って来ました。
すばらしい松や作りを見ていると、妙に人だかりが…
正体はこちらの桜の木でした。たしかに見事です。
オドリコソウも花を開きだしました。
普段邪魔扱いしてごめんね。
花が咲くと、踊り子みたいで可愛いよね。