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〜ドイツ・激走編〜

ノイシュヴァンシュタイン城

以上で、ツアーコース内ドイツの観光地は終了です。
日本人の好きな王道コースを回るコースではありましたが、大変よかった!
そう思えるのは、自分も日本人だからなんですかね。見事ツボにはまりました。
ただ残念だったのは、ドイツの歴史を見る旅で終わってしまったこと。
もっと近代的な顔や、最先端の町並みなど、今を生きる都市も見たかった。
そういう意味では、大変健全な観光でした。
今度は旧西ドイツを中心とした観光ルートを歩いてみたいですね。

ツワモノどもが夢のアト

 ドイツ観光のハイライトを飾る、最高の見せ場にやってまいりました。
 しかし、その見せ場ノイシュヴァンシュタイン城に行くまでには、意外と苦労します。
先ず、事前に町のチケットセンターで、入場券を購入。それに指定された時間までに城に行かなければなりません。
 見学は、自由に行うことはできません。ガイドツアーとなりますので、時間に集合して皆で移動します。我々の時も、他の日本人ツアーと一緒の時間で、日本語の放送がテープで流れ城内を回りました。
 もっとゆっくり各部屋を見たいと思いましたが、流れ作業で追い出されていまうので、ちょっと残念です。

 城内は撮影禁止です。今回は城までの道のりのみの掲載となります。あしからず。

 上記写真の城は、ホーエンシュヴァンガウ城。ノイシュヴァンシュタイン城を建てたルートヴィヒ2世の父、マクシミリアン2世の居城です。12世紀にシュヴァンガウ侯爵の居城として建築されましたが、その後数百年見捨てられて荒れ放題になっていました。この城を見つけ、気に入ったマクシミリアン2世が改築、ホーエンシュヴァインガウ(白鳥台)城が甦りました。
アルプ湖を見下ろす絶景に建つ城です。
 トーマスさん運転の観光バスで、この城の建つ麓まで来ることができます。ただし、この城も事前チケットの購入がないと入れません。先ずはチケットの手配が必要になります。

 城の麓には、ホテル、レストラン、お土産屋さんなど道沿いにいくつも存在します。
 ドイツのお城は夜間ライトアップされているところが多いので、近くに宿泊するのもお奨めです。

 こちら、日本の免税店です。トイレはここでしか借りられないと思ってください。後は城か有料トイレ。
免税店では甲冑がお出迎えしてくれます。もちろん売り物。

 この免税店の前はロータリーになっていて、ここからミニバス(乗り合い)に乗車し、ノイシュヴァンシュタイン城を目指します。城へは、バス以外に馬車、徒歩などの方法があります。 

 このとき天気は小雨。皆、傘やカッパを準備(免税店でも売っています)。雨具がいるかな?という程度ではありますが、風があるせいでデジカメを自由に操ることができません。しかも、傘で視界が遮られます。
言い訳がましく、記録より記憶にとどめて参りますと、お書きしましょう。

 現在どこにいるかと言いますと、お城の乗り合いバスであるミニバスに乗車し、徒歩や馬車とは違うバス専用ルートの終点に降り立って歩き出したところです。
 説明では、ここからお城まで徒歩で約10分。
途中、唯一城の全体像を見ることの出来る絶景ポイントに寄って登る予定です。
その絶景ポイントであるマリエン橋には、ミニバスルートが一番近づけます。

マリエン橋が目の前に差し掛かりました。

 傘のせいもあり、狭いつり橋を、少数で順番に渡っていきます。木製でできた橋は、隙間がたくさんあり揺れると言うか、しなります。
 落差91メートル!こんなに人が乗っていてよく落ちないものだと思う橋。もちろん橋は奥まで行ったら折り返します。城につながりませんから。

 確かに絶景です!よくもまあ、こんな険しい山に城を作ろうと考えるものです。

 晴れていたら、ホントに絶景が撮れたかもしれませんが、今回はこれでよしとしましょう。
ねずみのお城のモデルになった城です。確かに似ていますね。

 橋の上から見下ろすベルート渓谷の紅葉も見事です。雨のせいで際立つ緑が鮮やかに目に飛び込んできます。
 眼下には滝も見えました。水が美しいです。

 小畠サンのいつも持っているバッグ。本人に近似の美人女性がデザインされた、センスを感じる一品。
「パリで見つけた」そうです。
この方は、ツアコンというより撮影モデルのが似合います。

 マリエン橋から城に向かうのですが、どこにお城が?という山道を進みます。
一度リラックスするには最適ですけど。

 この苔むした切り株、すばらしいですね!自然の情景を真似て庭を造るのにはやはり限界があります。
我が家でも茶庭造りをしたとき苔を貼りましたが、いくら手をかけて養生しても、必ず部分的に枯れてしまいます。全てを人の思いのままにいかないからこそ、自然は美しいのでしょう。

 上り坂のカーブを抜けると、開けた場所に出ました。今まで来た道が見下ろせます。
ホーエンシュヴァンガウ城と、アルプ湖が見えています。
 マクシミリアン2世が、この場を見初めた理由が納得できます。

 お城もよく見えるポイントです。
場所が広いので、撮影会にはもってこい。
しばしここで記念撮影会です。
皆さんドイツは初めての方ばかりで、興奮の収まらない観光になりました。
添乗員のお二方には、お礼の申しようもないです。

 再び森の中に入りました。こういう場所の雰囲気は、日本にいるのと変わらないです。過湿気味の大気が返って森の匂いを感じさせてくれます。

 未確認生物発見!この生き物知っている方がいらしたら教えてください。

 ついに城が触れるところにまでたどり着きました。正面に旗が立っていて、そこが入り口だと言っています。

 働く車を発見。ダンプのような荷台がついていますが、どんな車なのでしょう?

 城の正面を、左に回りこむようにして坂道を登り、城内に向かいます。もうちょっと距離があるようです。

 3種類の国旗は、推測にすぎませんが、バイエルンのイメージ色の青を白旗と、ドイツの国旗、白鳥城を指す旗、という感じでしょうか?

 お城の正面から見た景色。ここからの眺めもすばらしいです。

 重厚な門。人が通れる大きさの扉だけ開いています。ここは風が強いです。

 異世界への入り口にいます。正面から見るお城はすばらしい!ですよ。観光客が呼ばなくても来るわけがわかります。右写真の光っている番号が予約ナンバーを表します。我々は416番。もう少しで呼ばれるな。

 電車の改札口のように、チケットを機械に挿入して、自分でバーを押して入場します。
 中に入ったら全て団体行動。各部屋ごとに、テープから解説が流れます。それを聞きながら部屋を移動していくのです。我々は日本人の団体だったので、日本語で解説。
’洗面台’を’せめんだい’と言ったり、いくつか怪しい日本語も混じっていますが、なかなか分かりやすい解説でした。

 残念ながら、内部の撮影は禁止でしたので、せめて外側の写真だけでもたくさん掲載しておきます。
やはり一度は訪れたいスポットです。未完成に終わった城ですが、完成形が見たかったですね。

 壁には、オペラの一場面が描かれています。
今見ている建物(本館)の、手前の空いているスペースにも、塔が作られる予定だったそうです。

まだ入場まで少しだけ時間があるようですので、一つ上の踊り場にいってみたいと思います。

 切り立った山が目の前に立ちふさがります。目の前の木(確かトウカエデだと思ったのですが)の葉の色の変わり具合が山の針葉樹林に映えます。

ルードヴィッヒ2世と、ノイシュヴァンシュタイン城
 父王マクシミリアン2世の急死により、19歳でバイエルン国王になったルードヴィヒ2世。
191センチの長身に端正な顔立ち、そんな彼は女性たちの憧れの的でした。しかし位丈夫な外見に対し、ガラスのハートを持つ繊細な方でした。
 19世紀、すでに議会制で国が動く時代です。王は周囲との軋轢や人間関係に耐えかね、自分の内にこもるようになります。そして、その情熱は築城に向けられていきます。リンダーホーフ城、ヘレンキームゼー城の2城を作りつつ、ノイシュバンシュタイン城も作るという熱の入れよう。さらにノイシュバンシュタイン城の完成を見ないうちから新たな城を、しかもさらに山の上の厳しい地形に作ろうと計画していたのです。
 どんな理由であれ、これでは周囲から異常視されても仕方ありません。王はシュタルンベルク湖畔にあるベルク城に幽閉され、主治医とともにその地で謎の死を遂げました。
 
 ノイシュバンシュタイン城は、中世の古き良き城中世の騎士伝説にある城を再現しようとしました。なので、バロック、ゴシック…何でもありの建築様式。城のデザインは、舞台の書割画家が描きました。
16歳でワーグナーを理解した繊細さで、各部屋には英雄伝説を描き、絢爛豪華な装飾を見ることができます。もちろんモチーフの中心は、白鳥に乗った騎士などワーグナーの作品です。使用している材料も特筆するものがあります。

 階下では皆さん入場待ちしています。他の日本人ツアーも到着したようですね。
 ローテンブルク、ノイシュヴァンシュタイン、日本人多いです。ツアーの目玉でしょうけど、それだけ日本人の憧れるドイツの風景がここにあるのでしょう。
 順番が来たようです。早速並んで入場です。

自然の石、建物の石、どちらも重厚です。

山を下ろう
 いやー、満喫しました!ぐるぐると、結構城内を歩きましたね。
余韻に浸りながら、山道を戻りたいと思います。

 門の外に出ても、興奮冷めやらず。すぐ振り返ってしまいます。
 見上げればまた違うイメージの城の姿。見る位置によって別の城のようです。

色んな建築様式の集合体、実感です。

 帰りは各自、ミニバスに乗車した日本の免税店前に集合!
目の前に馬車乗り場が見えてきました。
迷いましたが、正面からのびる徒歩ルートをひたすら下って行くことにしました。ちょっと雨が降り出しましたので傘を広げます。
山の天気は変わりやすい、というところでしょうか。

左は切り立った山肌、右は急斜面の森、自然の要害地です。

 ニシキギ科のツリバナの木。これだけの大木ですと見事です。

 ’ニーベルングの指環’などに見られる、ワーグナーがオペラの題材にしていた北欧神話は、’ユグドラシル(世界樹)’が世界を支えている中心になっています。
 日本でも、神社仏閣には’ご神木’があります。’生命の樹’といえば、キリスト教でもエデンの中心に植えられた樹です。
 時代や世界が違っても、人々は古来より’樹’を神聖視してきたのですね。そんな樹たちを相手に仕事をできることは、植木屋は誇らしい職業なのかもしれません。

 下りだすと、すぐまた木に囲まれた山深い道になります。
ミニバスルートと違って、道幅は広いですね。

 美しい自然に見とれていると、自転車を積んだ車が。途中までは行けるようです。

 後ろから、のんびりペースで馬車も登場。
そして、その先に落し物発見。雨に溶けて、さらに後続車が踏みつけて…、えんがっちょ!

 再び、ホーエンシュヴァンガウ城を見ることのできるところまで帰ってきました。
このお城も、見所のあるお城です。今度はぜひ中に入ってみたいと思います。
 徒歩で下ってきた足で、また丘を登ってお城に行くには根性が入りそうですが。。

 最後に、ルードヴィッヒ2世の擁護をしておきましょう。確かに、王は国政を圧迫する出費を重ねていました。
ですが、国費と言っても王室費であり、王の自由になるお金。文句を言われる謂われはそれほどありません。しかし、王室公債を乱発して借金を増やしたのは事実。
哀れ、王がノイシュヴァンシュタイン城に入城したのはわずか102日間。その後、幽閉、怪死。
 未完成ながらお荷物とされていた城を一般公開すると、美しい城見たさに世界中から観光客が押し寄せ、最初の半年間だけでも18,000人もの人々が訪れたそうです。今なおその人気は衰えず、国の借金などその入場料でおつりがきてなお余るほど。
 シュヴァンガウ役場の前庭にはルードヴィッヒ2世の胸像が立っていて、そこには「ルードヴィッヒ2世、シュバンガウは感謝する。」と彫り込まれているそうです。