〜スイス・迷走編〜
これからもうちょっとだけ展望台内を移動したいと思います。
そして上りルートとは違う、下りルートも掲載します。
まだまだ続くベルナーオーバーラントの風景、お楽しみください!
晴れ乞い成功!!
前日の天気予報によると、雨は午前中にはあがって、その後は曇りの天気になるそうです。
テレビの番組の一つで、 毎朝7時にヨーデルの歌声と共にユングフラウの山頂ライブ映像が流れるので、それを見ると現在の山頂の天気がわかる、と小畠サンが言っていましたので、朝からチャンネル釘付けです。
お、確かにヨーデル流れてきましたよ。画面には山が写っているようです。写っているようなんですが、まだ夜明け前。
ほとんど真っ暗な映像の中で、天気を見極めるのは至難の業です。画面がぶれないので、雨は降っていないようです。
奥様は、寝る前に気合の入った晴れ乞いをしていましたが、今年は結婚式も6月のにわか雷雨。
雨の日の花嫁は幸せになれると言われますが、濡れた芝のせいでガーデンセレモニーができず残念な思い出が。
彼女も「最近年取って効き目が薄くなった。」と自信喪失中でしたので、今回もだめか?
天気予報を信じてせめて雨が上がっていることを期待しながら画面を見つめていました。
夜が完全に明けました。
ユングフラウに向けて、標高567mのインターラーケン(湖の間という意味)の町をバスで出て、標高796mのラウターブルネンの町を目指します。そこから登山鉄道に乗り換えます。
どうやら雨はあがっていました。バスを走らせユングフラウが見えるところに出ました。
すごいです!山の稜線が朝日に反射してくっきり見えます。これは天気予報はずれましたね。快晴です!
やりました。晴れ乞い成功です!
ユングフラウ鉄道の車窓から 〜山頂目指して〜
ラウターブルネンの町に到着です。他のツアー客もいますが、時間が早いため空いています。
おかげで、らくらく座れました。
ここからユングフラウ鉄道グループのWAB鉄道(ヴェンゲルンアルプ鉄道)に乗り、標高2061mにある乗換駅クライネ・シャイデックまで約45分間の列車の旅になります。
軌道の関係上、というかかなりの勾配のある路線なので、電車は小さめ。それが余計に風景をダイナミックに見せます。
どこからか、テレビの車窓番組の音楽が聞こえてきそうな景色が始まりました。
今までのバスの中から撮った写真と明らかに違う風景です。しばしお楽しみください。
ホントは自分が傾いているせいで錯覚しているのですが、家が斜めに建っているように見えます。
よくもまあ、こんな場所に民家があるな、と感心するところに部落があります。でも、平地と変わらない物価というところが、スイスの平等思想だそうで。
天気は大はずれ!山に上るほどに陽もさして来ました。車窓の右も左も絶景で目が離せません。
現在途中駅ヴェンゲンを過ぎ、さらなる急勾配に入ったあたり。
列車も乗り換え地点に近づいてくると、だんだん景色に変化が出てきます。緑に白いものが混じり始めました。大地が凍りつつあります。放牧中の牛達も寒そうです。落葉樹も紅葉しながら凍りつきそう。
植物には、’植生限界’というものがあります。高度によって植物の自生できる限界があるわけですが、標高が2000mにもなると、熱帯意外では高木林が形成されることはありません。そろそろ限界が近いところまできました。
すでに生えていても針葉樹の低い樹木ばかりですね。
ユングフラウだけではなく、隣り合うアイガー、メンヒも見えます。
歯車がついた軌道です。滑り防止や、登攀用でしょうか?
そうこうしている間に、乗換駅クライネシャイデックが見えてきました。
すでに気温は氷点下。草原も真っ白です。
世界的な観光地だけあって、初めて日本人より、アジア人も含めた外国人ばかり目立ちました。
今まで乗ってきた黄色に緑のラインのWAB鉄道と、これから乗るクリーム色と赤色のツートンJB鉄道(ユングフラウヨッホ鉄道)。約50分かけて標高3454mのユングフラウヨッホ駅を目指します。
ここからでも、山頂駅との標高差はまだ1400mもあります。そしてこれからが本番です。
「ここで新しいカップルの紹介です。」小畠サンからアナウンス。実は、わちの奥様ともう一組、新婚カップルで妊娠五ヶ月の奥様の二人は、母体に考慮して乗換駅のクライネシャイデックでお留守番になりました。そこで、残った野郎二人が、新たに徒党を組むことになったのです。
面白いことに、このKさん、野田市から川向こうの極近いところにお住まいのうえ、同じ式場、同じく県民共済で申し込み、同じく消防団、で自営、とびっくりするほど共通点が多いご夫婦なのです!行動範囲も同じあたり。近所で会うことがあるかもしれませんね。
クライネシャイデックを出て約10分、最初の駅アイガーゲレッチャーにつきました。アイガー氷河という意味の駅名ですが、その通り、目の前にアイガーから流れ落ちる氷河が広がります。この氷河あたりは万年氷なんでしょうね。
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上記写真、矢印が記しているちょうど真上の山の稜線部分に、吹き出物のように少しだけ出っ張った箇所があります。別写真を拡大すると、こんな感じの展望台。最終的に目指す、その名も’スフィンクス展望台’まったくこんなところに誰が鉄道を敷き、展望台を作ろうなんて考えたのでしょう?ちなみに写真の山はメンヒ。ユングフラウは後方に位置し、よく見えていません。
こんなとろに…と書きましたが、これがヨーロッパの平等思想なのでしょうか?万人が簡単に楽しめるためにという考え方があったからこそ、こんなところまで鉄道を作ったのでしょう。アイガーグレッチャーまでは通常の登山鉄道の難しい程度でしょうが、これから先は山をくりぬいたトンネルです!しかも時代は19世紀の話。産業革命が興って数十年の話。当時の主力である蒸気機関の力で作るのですから、ほとんどは人力です。
ようやく20世紀になった1912年、ユングフラウヨッホまでのトンネルが開通します。
この方たちがすごいのは、このままさらにユングフラウの山頂までロープーウェーを通してしまおうと考えたこと。これは色々な理由で中止になりましたけど。
ここから先はトンネルになります。左写真の右斜め上方に向かって細長く続く帯の上にアイガーグレッチャー駅があり、そこから今度は左上方に向かってトンネルが伸びます。
左上方?まさにちらっと見えている絶壁の中を列車は走るのです!
アイガーヴァント(アイガーの壁)駅です。トンネル内にある駅で、ガラス窓越しにアイガー北壁を見学できます。同じように次のアイスメーアー(氷の海)駅にも展望施設があり、数分停車する間に、撮影などができます。といっても、水が垂れてきたり、太陽の反射やガラスの汚れで撮りづらいですけどね。
多くの登山家の命を奪った三大北壁の一つ、アイガー北壁を中から見るなんて、登山家に申し訳ない気分。
時に登ってくる登山家を見ることもできるそうです。
アイガー東山稜を初登攀した、日本人登山家、槇有恒(まきゆうこう)氏がいます。彼が私財を寄付した資金で建てられた3026m地点にある山小屋は、今でも存在しているそうです。そういう経緯から、親日家が多い地域でもあります。
アイガーヴァント駅を出て、アイスメーアー駅に至る途中で、標高3000mを越えます。
人によっては高山病が起こり出し、体がだるくなったり、気分が悪くなったりすることもあるようです。幸い覚悟していた分平地と変わりない体調で到着してからも一人先走り、迷走しております。
アイガーを抜け、メンヒも潜り抜け、文句なくヨーロッパの駅最高地である、標高3454mユングフラウヨッホ駅に到着。
この状態では山の中なので、これから地表面に出ます。
なぜか日本製の赤いポストが。
ここは富士山五合目郵便局と姉妹提携をしており、ここから専用スタンプを自分で押して投函すればよい記念になります。
でも、自分でスタンプを押すことを知らずに投函すると意味がなくなるので注意!
また、なぜか韓国人が多いです。しかも、彼らのチケットは辛カップラーメンつき。ここでラーメンを食べることが流行っているようです。なので、多くの韓国人が実際レストランで食べていました。ドラマで使われたのでしょうかね。
ここからさらに標高3573mの高さにある、スフィンクス展望台を目指します。
ここから自由行動ということで、先走ります。でも、慣れない高地なので走っちゃいけません。酸素が薄いので注意。
案内板にもちゃんと日本語が。
ここだけ島のようにせり上がった場所にあるスフィンクス展望台。何故かヨン様のポスターが張ってありました。
標高4099mメンヒ。アルプスの修道士と言われる山頂です。
世界遺産にも登録されているヨーロッパ最長のアレッチ氷河(世界遺産というと、この周辺全ても対象になっています)。どこまでも続く流れに、自然の雄大さを感じます。
こちら標高4158mユングフラウ。
この山頂に向かってロープーウェーを渡らせようというのは、実現してほしかったですが、やっぱり無茶でしょうね。
雪原に道があり、歩いている人々がいます。でも道以外の場所は歩くと大変なことにありそう。穴だらけです。
天気予報があてにならないのは外国も同じのようですね。どこまでも続く景色にただ見とれるばかり。空の青さも濃く感じます。気温は氷点下7度くらい。ですがそんな寒いなんて忘れていました。
最後の2枚の写真は、途中の車内から撮影したものです。
終点 TOP OF EUROPE